内容説明
本書の主題は、微視的世界での基本的な運動法則から偏微分方程式などによって記述される巨視的世界における法則を導くことにあり、それは19世紀後半のMaxwellやBoltzmannの研究が端緒を開いた統計力学とよばれる分野において、最も重要とされる問題の一つでもある。統計力学の「統計」とは実際には「確率論」をさし、莫大な量の自由度をもつ系の力学(時間発展)を解明するために、確率論的な考え方を導入することを意味している。本書で用いられた手法は普遍的な側面をもち、物理現象にとどまらず、化学現象、生命現象などの自然科学、さらに経済、社会現象などにおいて、多数の個体がそれぞれにかかわりをもちながら行動するという状況の下で、それらが集団として織りなす様相を数学的に解析しようとするときに、広く応用可能であろうと期待される。
目次
微視的界面モデル(高さ変数;エネルギー ほか)
Gauss平衡系(有界領域上のGauss平衡系;Zd上のGauss平衡系 ほか)
平衡系に関する結果(ランダムウォーク表現と基本不等式;表面張力 ほか)
時間発展に関する結果(流体力学極限;大偏差原理 ほか)
著者等紹介
舟木直久[フナキタダヒサ]
1951年生まれ。1974年東京大学理学部数学科卒業。名古屋大学教授などを経て、現在、東京大学大学院数理科学研究科教授。専攻は確率論
内山耕平[ウチヤマコウヘイ]
1949年生まれ。1972年東京工業大学理学部物理学科卒業。1978年同大学院博士課程修了。奈良女子大学理学部助教授、広島大学理学部助教授、東京工業大学理学部助教授などを経て、現在、東京工業大学大学院理工学研究科教授。専攻は数学(確率論)
松本幸夫[マツモトユキオ]
東京大学大学院数理科学研究科教授
谷島賢二[ヤジマケンジ]
東京大学大学院数理科学研究科教授
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