内容説明
1958年、アルジェリアをめぐり国家の危機にあったフランスに、第二次大戦の英雄ドゴールは政治指導者として復活した。政権復帰から退陣までのドゴールのヨーロッパ秩序再編構想とその国際的反応を、本書は分析する。膨大な量の仏・独・米・欧州共同体の一次史料から見えてくるのは、冷戦と分断という秩序を書き換え、組み直し、そして突き破ろうとしたアデナウアー、ケネディ、ブラントなどの思惑の交錯・衝突と、冷戦・欧州統合・脱植民地化・独仏関係が連関しあいながら展開される多国間外交の姿である。その外交の末に我々が目にするのは、冷戦構造を侵食する重層的なメカニズムの形成であった。時代の転換点で人々はいかにして次の秩序を模索するのか?―本書は、冷戦構造の変容が進む中で、ドゴール外交を出発点としながら、欧州統合と大西洋同盟の二つの国際秩序において「ヨーロッパ」が立ち上がる様子を活写する。従来の外交史研究では捉えきれなかった、国民国家を超える政治空間の構築を解明する、「ヨーロッパ構築史」の清新な試み。
目次
戦後ヨーロッパ国際関係史の再構築
第1部 「大構想」の実現を目指して 一九五八‐一九六三―ドゴール=アデナウアー時代のヨーロッパ国際政治(アングロサクソン、アルジェリア、世界政策 一九五八‐一九六〇―ドゴール政権復帰後のフランス外交;政治同盟交渉 一九五九‐一九六二;米仏二つの大構想と西ドイツ外交 一九六一‐一九六二;エリゼ条約の成立 一九六二‐一九六三)
第2部 「大構想」後のヨーロッパ国際政治の危機とその克服 一九六三‐一九六九―デタントと共同市場(ドゴール外交の「頂点」 一九六三‐一九六六―自主外交とデタントへの転回;ヨーロッパ・デタント 一九六三‐一九六八―西ドイツによる東西関係変革の模索;ヨーロッパ統合の危機 一九六三‐一九六五;ヨーロッパ共同体の定着 一九六五‐一九六九)
統合されたヨーロッパと多極化された世界
著者等紹介
川嶋周一[カワシマシュウイチ]
1972年鎌倉市に生まれる。1997年北海道大学法学部卒業。2002年パリ第四大学近現代史講座DEA課程修了。2003年北海道大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学。現在、明治大学政治経済学部政治学科専任講師。博士(法学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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