内容説明
本書は、保守的で急進的な変革を求めたカトリック系政治思想家たちがローマ教皇の社会回勅をもとに形成した社会観・経済観・国家観を解明、なかでも強い影響力をもったシュパンの身分制国家論を包括的に分析する。さらに、カトリック的普遍性とドイツ・ナショナリズムの狭間で揺れつつ存立した彼らの思想的営みを、反ユダヤ主義との関係も踏まえて明らかにする。
目次
第1章 保守的で急進的な変革―「保守」と「革命」の結合の論理(保守的心理;保守主義の指標 ほか)
第2章 カトリック政治思想と資本主義国家の諸問題(二つの社会回勅『レールム・ノヴァールム』(一八九一年)と『クアドラゼジモ・アンノ』(一九三一年)
社会改革と社会政策 ほか)
第3章 オトマル・シュパンの身分制国家論とファシズム(普遍主義の政治原理―政治的不平等と権威主義;身分制国家論 ほか)
第4章 カトリック政治思想とナショナリズム(民族と国民と国家;「オーストリア・イデオロギー」の論理構造―戦間期オーストリアにおけるドイツ国民意識とオーストリア国家意識 ほか)
第5章 職能身分制秩序の実験―ドルフス・シュシュニク体制の政治思想(カトリックの身分制秩序論;ドルフス・シュシュニク体制)
著者等紹介
村松惠二[ムラマツケイジ]
1948年、山梨県生まれ。東北大学法学部卒業。弘前大学人文学部教授。専攻、政治学・政治思想史・オーストリア研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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