目次
第1部 政治=国制史的アプローチによる「ドイツ史の始まり」―八四三~九一九年(八四三年:ヴェルダン条約による帝国分割;八八七年:東西フランク王国の最終的分離;九一一年:東フランク=カロリング家の断絶 ほか)
第2部 「ドイツ人」と「ドイツ人の王国」―オットー朝の始まりから一一世紀初頭まで(“フランク”と“ドイツ”の狭間(1)―称号における支配観念
“フランク”と“ドイツ”の狭間(2)―叙述史料における支配観念
オットー三世・ローマ帝国の改新・“ドイツ人”(1)―イタリアにおける民族名の受容 ほか)
第3部 「ローマ帝国を担うドイツ人」―一一世紀初頭から叙任権闘争期まで(一一世紀前半のローマ帝国と帝権的王権理念―ドイツ王国・国王概念形成の条件;叙任権闘争とドイツ王国―「ドイツ」概念の政治的・歴史的地平)
著者等紹介
三佐川亮宏[ミサガワアキヒロ]
1961年、札幌市に生まれる。1991年、北海道大学大学院文学研究科博士課程中途退学(1987~90年の間、DAAD奨学生としてボン大学に留学)。北海道大学文学部助手を経て、東海大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鏡裕之
3
本書では、単一の民族としての「ドイツ人」が存在しなかったこと、ドイツの地域にあったのは、「フランク人、ザクセン人、バイエルン人、シュヴァーベン人」という4つの民族の意識だったこと、ドイツ人という名称はイタリアからつけられたものだったことが明らかにされている。「昔からドイツ人というのがいたのだ……!」というのは、近代の捏造だったということだ。その近代の捏造の下、ヒトラーは「純粋なドイツ人(ゲルマン)」をつくりだそうとした、つまり、捏造の上の捏造だった……と虚しさの混じった感懐を覚えた。2019/01/14