出版社内容情報
【解説】
昭和二〇年四月七日、戦艦大和は沈没。生き残った少年兵八杉は、その後、陸戦隊に属し呉にいた。八月六日、広島に原爆投下。八杉の部隊は広島駅と鉄道復旧のため広島に入り二次被爆。運命とは言え、終戦直前の二つの地獄を体験した十七歳の少年は、戦後いかに糊口をしのぎ、心に負った戦争の傷跡と対峙したか。それは当時のすべての日本人の共有した苦難の道だった。涙なくして読み得ない感動作を万感の祈りを込めて刊行する。
内容説明
戦艦大和とヒロシマという二つの地獄から奇跡のように、少年兵は帰ってきた。戦後という「生」の場へ。
著者等紹介
鬼内仙次[キナイセンジ]
1926年、兵庫県加古郡に生まれる。関西学院大学文学部卒。朝日放送プロデューサーとして勤務。『文芸春秋』に「下駄履きの釜ヶ崎」を発表以来一貫して実際あったままの話を書く
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
氷菓子
0
戦艦大和に乗船し、沈没から奇跡的に生還した少年兵の話。沈没直前の甲板の悲惨な状況や、海上で流木を寄越して命を救ってくれた少佐の話、救助の船からのロープの奪い合いの醜い争いなど、当時の状況の生々しい記録でもある。九死に一生を得た後も原爆投下後の広島での救援活動のために生涯原爆症に苦しむ。大和沈没と原爆という戦争の2つの悲劇を経験しながらも、音楽が好きだったのを生かして調律師とな理、その傍私財を投じて大和沈没の実態調査や体験を語る講演会を精力的に行なう。強く生きたその姿に感銘を受けた。2019/06/26