戦争PTSDとサリンジャー―反戦三部作の謎をとく

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  • サイズ B6判/ページ数 205p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784422900308
  • NDC分類 930.28
  • Cコード C1098

出版社内容情報

【内容紹介】
『キャッチャー・イン・ザ・ライ(ライ麦畑でつかまえて)』の作家、サリンジャーは第2次大戦で激戦地域を渡り歩き、心の病いの治療を受けた体験を持つ。彼の短編3作「エズメに」「愛らしい口もと目は緑」「バナナフィッシュにうってつけの日」を、戦争によるPTSD(心的外傷後ストレス障害)の視点からじっくりと読み込み、それらの作品の面白さ、豊かさを語る。3作品に戦争PTSDの視点を導入したのは本書が初めてで謎解きの知的興奮は推理小説以上。
 
【詳細目次】
はじめに

序 章 PTSDとは何か?    
    PTSDの診断基準
    診断基準のわかりにくさ
    戦争によるPTSDの特徴
    サリンジャーとPTSD
    サリンジャーと戦争

第一章 

内容説明

社会との関係を絶つかのようなサリンジャーの隠棲、そして、不条理な作品世界。従来の作品論はそれらに捕らわれ、著者と現代社会の接点を見過ごしてはこなかったか?戦争PTSDという斬新な切り口によって、サリンジャーが社会に向けて訴えた、戦争批判のメッセージが鮮烈に浮かび上がる。

目次

序章 PTSDとは何か?(PTSDの診断基準;診断基準のわかりにくさ ほか)
第1章 語り手は、なぜ事実を語らないのか?―「エズメに」を読む(作品のあらすじ;二つの特徴 ほか)
第2章 酔っていても言いにくいこと―「愛らしき口もと目は緑」を読む(作品のあらすじ;異質な作品 ほか)
第3章 シーモアの死が意味するもの―「バナナフィッシュにうってつけの日」を読む(作品のあらすじ;シーモアの死の謎 ほか)

著者等紹介

野間正二[ノマショウジ]
1949年京都生れ。大阪市立大学大学院退学・兵庫県立ピッコロ演劇学校修了。京都府立大学文学部教授・文学博士(京都大学)。その他:芝居の解題・評論を約160本。1990年州立エバーグリーン大学(米国)で日本の演劇を一学期間講義(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

びーとぅん

8
検証されている『ナイン・ストーリーズ』収録の3作が、「反戦三部作」であるかどうかはともかくとして、サリンジャー自身が戦争によるPTSDに苦しんでいたことはほぼ間違いないだろう。そこから反戦の思いを作品に込めたというのが最終的な著者の主張。読み方の一つとしては納得できる部分もあったけれど、それがすべてというわけではないと思う。兵士のPTSDが医学的にどう広がっていったかの序章での解説は参考になった。もう少しその過程とそれ以前の対応について詳しく知りたいと思った。2014/03/06

hajimemasite

0
序章にあたる、アメリカ社会とPTSD研究の変化、そしてサリンジャーと第二次世界大戦に関する部分は非常に面白かったが、肝心の三部作の考察が微妙だった。「エズメに」に関してはPTSD研究とも深く関わりがあるのでまぁいいとして、「愛らしき口もと目は緑」「バナナフィッシュにうってつけの日」の考察は、わざわざ絡めなくても、とも思った。が、特に「バナナフィッシュにうってつけの日」の考察は既に多種多様な切り込みがあるので、あえてこういう切り込みは面白いのかもしれない、という気もする。2014/02/06

aa

0
結論ありきの評論という印象を少し受けた。従来のサリンジャー考察とは異なる点が多いので、考察の一つとして読むには良いと思う。2011/05/01

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