内容説明
「行ってらっしゃい、ムッシウ・ヤマダ!」の声に送られて出かける。名所旧蹟でなく人々との出会いを求めて。ギリシャ、アンダルシア、ローマ。―出会いと別れ、そして再会の夢。
目次
メリナの国で
太陽の門をくぐって―冬のアンダルシア
ローマ日記
著者等紹介
山田稔[ヤマダミノル]
1930年北九州市門司に生れる。京都大学でフランス語を教え、1994年に退官。主要著書『スカトロジア』(三洋文化新人賞)『コーマルタン界隈』(芸術選奨文部大臣賞)『ああ、そうかね』(日本エッセイスト・クラブ賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hasegawa noboru
14
1970年代パリからのギリシャ旅行、同じく1977年末のアンダルシア三人旅、三作目は少し遡って1967年ローマ安宿滞在日記。三つの旅の体験を元に綴られた小説を、副題にある通り新たに編み直した一冊。発表されてからでもほぼ半世紀が経とうか、作者は今年御年93歳になられるようだ。<観光趣味がない>「わたし」(作者の分身)は<名所旧蹟には背を向けて、街をあてどなく歩いただけ>のことが多い。<旅とは一体何だろう。そして生きるとは。>コルドバを去ってグラナダへひたすら走る大晦日の夜のバスの中で<さようなら一九七七年。2023/05/25