出版社内容情報
微細藻類の一種である珪藻〈ケイソウ〉は、淡水から海水まで広く分布し、世界中に約10万種が生息すると言われる。ガラス質の体を持ち、その幾何学的ともいえる形状は種類によってさまざまで、さらに細部をみると規則正しく整列した穴や突起などにより繊細な装飾もほどこされている。
珪藻はどこにでもいる普通の生き物でその量も多く、実は地球上の酸素の5分の1を光合成で生み出すほど重要な役割を果たしているが、その小ささ故に見過ごされがちである。だが、ひとたび顕微鏡で観察すると驚異のミクロの世界が広がっており、その美しくも摩訶不思議な姿に息を呑むこと間違いなしである。
謎多きミクロ生物の知られざる「微」と「美」の世界に迫る、かつてないビジュアルブック。
【日本語/英語併記】
Fascinating micro-beauty of nature
Diatoms are microscopic algae widely distributed in marine and freshwater environment
内容説明
ミクロの世界に広がる摩訶不思議な造形美。地球上で最も繁栄している植物プランクトン「ケイソウ」その知られざる“微”と“美”に迫るかつてないビジュアルブック。
目次
序章 珪藻について(珪藻とは;生態;被殻の構造;顕微鏡;細胞分裂;生活史と有性生殖;相手を見つける;学名)
1章 形―被殻・殻の多様性
2章 模様―胞紋を拡大すると
3章 結合―細胞同士がつながる仕組み
4章 突起―複雑怪奇なパーツ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ねこ
76
最近、図書館で借りた図鑑5冊の内、最後の1冊。1番のお気に入りです。お値段4500円+tax!高額なだけあって、珪藻の電子顕微鏡の写真が高画質+高精細な上に写真がでっかい!見てて飽きなくって今日の返却日まで何度も見返していました。 この本を出版するに当たっての著者達のこだわりと情熱がビンビン感じられる1冊でした。デザインもアートを意識した作りになっている所も好感が持てます。珪藻愛がハンパねー!2022/03/13
punyon
35
『八月の銀の雪』に触発されて借りてきた1冊。新種のマカロニに、こんなのあったら面白いだろうなぁ・・って程、ユニークな形状(笑)そいつがギザギザ突起で結合するって言うんだから凄い!堅いガラス質でできた生物のくせに、アメーバーやゾウリムシに食べられたり、カビに被殻ハイジャックされたり、意外と脆い!そしてなんと言ってもその自然界における役割には舌を巻く。なんと我々人間が消費する酸素、人の呼吸の5回に1回分の酸素は、この珪藻くんが光合成で作ってくれているものらしい・・皆さん、珪藻くんに大いに感謝しようぜ~💛2021/01/29
つちっち
13
最近、見始めた生物学のチャンネルで珪藻が話題に上がっていてどんなもんかと借りてきた。ガラスでできている植物プランクトンの細胞壁が、有機物がなくなり残ったのが珪藻。科学技術にも応用(バイオミメティクス)される造形の多様性と精巧さがタイトル通り〈驚異〉です。人間がガラス溶かして作ろうにも絶対ムリ、ナノレベルのガラス工芸品と言ったところですか。複数の珪藻が、ファスナーの様にあるいはジグソーパズルの様に連結する仕組みもさらに驚異で、ずっとスゲー!スゲー!言いながら読んでました。2022/02/13
内島菫
12
肉眼では見えない植物プランクトンの珪藻(見えるほど大きなものでも本書中にある「.」ぐらいだとか)たちの創意工夫は、人間や他の生物の創意工夫とどこか相似形を描く。集合体恐怖症を誘いかねない境界線上の美しさは、それがガラスでできている細胞壁という強さと脆さを背中合わせに持った両義性と相まって、より奇妙な美しさを醸し出す。彼らの中には動く種もあり、どういう仕組みでなぜ動くのか、また細胞壁や胞紋の構造の詳細等、研究すべき点は多々あるようだが、特に胞紋は紋様に似ているものもあれば文字に見えるものもあり暗号のようだ。2024/02/13
yooou
7
☆☆☆☆★ 美しい。そしてどこまでも不思議。生きているというのはどうゆう意味なのだろう・・・・2021/06/06