出版社内容情報
どんな物語 からも
拒否 され続けた。
不遇の意識 からの
回復 不能を生きる。
*
在日朝鮮人作家・
李恢成、金石範、金鶴泳の文学をとおして
「生の感触」を書き表わす、
在日韓国人二世であり
哲学者・文芸評論家である竹田青嗣の初著作を、
約30年ぶりに〈増補復刊〉。
今まさに読まれるべき、在日論の普遍的傑作。
[書き下ろし]自伝的あとがき(14,000字)
*
ここには竹田青嗣の「在日」をめぐる
考えの結晶がほぼすべて、
おさめられている。
――加藤典洋(本書解説より)
*
『「在日」という問題の中には、
日本の文学や思想が抱えているすべての問題が
やはりそのまま含まれている。』
『かつて、在日朝鮮人にとっては、
祖国の言葉や文化を学び、本名を名乗り、
奪われている民族的主体性を“回復”することこそ
唯一無二の最大の課題だと見なされていた。
ところが、わたしにはどうしても
民族意識や民族主義というものがフィットせず、
自分のアイデンティティを定めかねて苦しんでいた。』
『それ(金鶴泳の「在日」)は、
被差別集団のアイデンティティを尊重したり、
共同体相互のアイデンティティを認め合う
といった現代的な理念に通じているのではない。
また一切のアイデンティティを嫌悪するという
新しい「物語」にも寄り添わない。
それはただ、どんなアイデンティティ(物語)
からも“見放され”てしまう
不遇な生の喩としてだけ受け取ることができる。
このことに対する感度を欠けば、
わたしたちは人間の生の条件に対する重要な
想像力を枯渇させることになるだろう。』
(以上、本書より)
内容説明
李恢成、金石範、金鶴泳の“在日”文学をとおして「生の感触」を書き表わす、在日韓国人二世であり哲学者・文芸評論家である竹田青嗣の初著作を、約30年ぶりに増補復刊。
目次
1 “在日”という根拠―李恢成、金石範、金鶴泳(李恢成;金石範;金鶴泳 ほか)
2(苦しみの由来―金鶴泳を悼む;沈みゆくものの光景―“在日”の「民族」と背理;三つの名前について ほか)
3(「在日」文学にみる「民族」の今―『流域へ』と「ほんとうの夏」;主観としての普通、客観としての在日―姜信子『ごく普通の在日韓国人』;ねじ曲げられた歴史への“恨み”―金石範『火山島』 ほか)
著者等紹介
竹田青嗣[タケダセイジ]
1947年大阪生まれ。在日韓国人二世。哲学者、文芸評論家。早稲田大学政治経済学部卒業。明治学院大学国際学部教授、早稲田大学国際教養学部教授などを経て、現在、早稲田大学名誉教授、大学院大学至善館名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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