出版社内容情報
「ソフトパワー」=「国柄(くにがら)」をキーに、明治・大正・昭和の<失敗の本質>から今後の日本の方策を探る刺激的な論考。
長引く不況に大震災。暗いイメージが空を覆う我が国に必要なもの、それは高度経済成長や軍事力ではない。国の文化、政治的な理想、政策の魅力によって生じる力である「ソフトパワー」=「国柄(くにがら)」こそが不可欠なのだ。大震災からの復興が声高に叫ばれる今こそ、それらを束ねながら、世界が注目するソフトパワーを作らねばならない。明治・大正・昭和の<失敗の本質>から方策を探る、読みやすく、かつ刺激的な論考です。
はじめに
1 ふわふわしたソフトパワー
ソフトパワーのつかみ所のなさ/本当は恐いソフトパワー/ソフトパワーと説明責任/アメリカの魅力と信用/オバマ大統領の就任演説/ソフトパワーの資源と戦略/今の日本のソフトパワー
2 大震災のあとで
大震災のあとで/首相がすべきだったこと/政府の責務/人は相身互い/復興という国柄/前向きに創造的に取り組む姿勢/ソフトパワーを今考える/日本だからこそソフトパワーを
3 日露戦争とソフトパワー
日露戦争について/日露戦争とヨーロッパ/日露戦争と西アジア/船上の二人/二十年後/日露戦争の戦争指導/日露戦争の一人歩き/日露戦争のソフトパワー
4 昭和戦前期の挫折
日露戦争の後で/昭和の戦争/敗北のパターン/中国問題と日本/内向きの中国政策/現場の苦労/あまりにも現実的な/あまりにも内向きな/大東亜会議/昭和戦前期の挫折
5 昭和戦後期の不発
敗戦の後で/敗北の経験者たち/企業と国家/大平総理の政策研究会/外に向くために/政策研究会報告書/大平への疑問/経済と文化/人間の顔をした資本主義/下村の見切りと不発/昭和戦後期の不発
6 今の日本の立っている場所
再び今の日本へ/情報の文明学/情報とこころ/日本を考えてもらう/情報の窓口が必要/留学生や旅行者にも考えてもらう/悪い癖を繰り返さない
7 今の大学生に欠けているもの
読む力/パソコンで書く力?/文脈を読む力/情報化が奪っていくもの/メールは瞬間芸/ネットは見るもの/情報化とコミュニケーション/若者の現在=年長者の未来
8 今の世界を動かしているもの
こころの時代/不安定な時代/第一次世界大戦の犠牲/ヨーロッパ内戦/日本の「第一次」世界大戦は第二次世界大戦/戦時宣伝の強化/敵対関係の強化/二十世紀の戦争とテロとの戦い
9 日本に今可能なこと
日本のミスマッチ/客観的すぎると企画にならない/ぼんやりと寄せていく/目指すべき社会像/腰を据えて取り組む/経験を共通化する/経験を外部に伝える/新しい危険にも目配りを/日本から世界に
おわりに
【著者紹介】
1966年、京都市生まれ。京都大学法学部卒業。現在、京都産業大学法学部教授・合同会社植村文庫業務執行社員。専門は、政治思想史・ナショナリズム研究。著書に、『丸山眞男と平泉澄―昭和期日本の政治主義』、『「日本」への問いをめぐる闘争―京都学派と原理日本社』(ともに柏書房)、『昭和の思想』(講談社選書メチエ)。共著に、芹沢一也・荻上チキ編『日本思想という病』(光文社)、木村雅昭・中谷真憲編『覇権以後の世界秩序』(ミネルヴァ書房)、野上元・福間良明編『戦争社会学ブックガイド』(創元社)などがある。
内容説明
大震災が教えてくれた、魅力ある日本の「国柄」の創り方。―昭和のソフトパワー、その失敗の本質を見極める。
目次
1 ふわふわしたソフトパワー
2 大震災のあとで
3 日露戦争とソフトパワー
4 昭和戦前期の挫折
5 昭和戦後期の不発
6 今の日本の立っている場所
7 今の大学生に欠けているもの
8 今の世界を動かしているもの
9 日本に今可能なこと
著者等紹介
植村和秀[ウエムラカズヒデ]
1966年、京都市生まれ。京都大学法学部卒業。現在、京都産業大学法学部教授・合同会社植村文庫業務執行社員。専門は、政治思想史・ナショナリズム研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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