アニメと思春期のこころ

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アニメと思春期のこころ

  • 西村 則昭【著】
  • 価格 ¥2,484(本体¥2,300)
  • 創元社(大阪)(2004/07発売)
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  • サイズ B6判/ページ数 254p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784422113197
  • NDC分類 371.45

内容説明

「エヴァ」とは何であったのか?なぜ思春期の子どもたちは、アニメに夢中になるのか?本書は、子どもたちのゆれる心の真実を、アニメを素材にしながら理解しようと試みた画期的な深層心理学的アニメ論であり思春期論である。

目次

第1章 思春期の自我、魂としての「私」
第2章 女児の憧れ、男子の慰め―『美少女戦士セーラームーン』論
第3章 闇をまとった少女―『スレイヤーズ』論
第4章 終わる世界で見つける「私」―『新世紀エヴァンゲリオン』論
第5章 ポスト・エヴァのヒロインたち
第6章 世界の果てに向かう自分探し―『少女革命ウテナ』論
第7章 少女マンガの夢見る力
第8章 CLAMPとそのアニメ化作品

著者紹介

西村則昭[ニシムラノリアキ]
1962年生まれ。1986年京都大学文学部哲学科卒業。1990年京都大学教育学部教育心理学科卒業。1995年京都大学大学院教育学研究科博士後期課程単位取得退学。現在、仁愛大学人間学部心理学科助教授、臨床心理士

出版社内容情報

<内容紹介>
思春期の子どもたち(ことに少女)の心的世界を理解することは、心の専門家たちにとっても至難であると言われる。本書は、『新世紀エヴァンゲリオン』や『美少女戦士セーラームーン』『少女革命ウテナ』『機動戦艦ナデシコ』『アキハバラ電脳組』『lain』など多くのアニメを素材として、激しい揺れと混乱を呈する思春期の子どもたちのこころの世界に迫ろうとした、新進気鋭の心理臨床家、初の書き下ろし。著者は河合隼雄氏、山中康裕氏の弟子。

序章より
『エヴァ』は、一四歳の少年少女が巨大ロボットに搭乗し、次々に襲来する不気味な敵と戦うという作品であった。苛酷で、不条理な戦闘を強いられる主人公たちの内面と、彼らの一生懸命な姿を、余すところなく描いたこの作品は、思春期の心の「闇」 にスポットライトを当て、90年代の日本の何かしら不穏な気風に合致して、大きな旋風を巻き起こしたと言える。『エヴァ』とは何であったのか。それは何よりも、自分自身の「心」に目醒めるヒロインの造形を真に樹立した点で、画期的な作品であったと思われる。男性にとって都合のいいイメージ、すなわち、男性の自分勝手な欲望を安易に満たすだけの 「人形」 に留まることなく、かけがえのない自分自身の「心」を、過酷な試練を通して獲得するヒロインたち。その姿はわれわれを感動させる。それが『エヴァ』によって確立された、新しいアニメヒロインのスタイルである。そうした『エヴァ』の影響は、本書で『エヴァ』と共に論じられることになる、その後のアニメの秀作、『機動戦艦ナデシコ』や『アキハバラ電脳組』や『少女革命ウテナ』などの作品に認めることができる。
『エヴァ』以後のアニメでは、真に自らの心を獲得しようとして、苦闘する美少女の活躍が著しい。そうした幾多の作品は、多くの少年少女の心をとらえ、彼らにとって、単なる気晴らしではなく、まさに生の実感を与えてくれるようなものとして、受け取られるようになった。アニメを観る時間は、彼らの日常生活のほんの一部にすぎないが、それはとても大切な時間となった。今はビデオがあるので、お好みの作品は気軽に繰り返し鑑賞され、その細部まで堪能されるようになった。お気に入りのキャラクターの語った言葉は、ときには心に深く刻まれ、何度も心の中で反為されるものとなった。また彼らは、そのテーマソングにのめり込むように耳を傾け、それを自ら口ずさみ、その歌詞の一節にハッとし、励まされる。そうしてアニメ界は、再び活況を呈するようになった。本書は、思春期の子どもたちを熱中させるアニメヒロインを切り口にして、思春期の心へのアプローチを試みるものである。アニメには美少女が不可欠と言われる。アニメ美少女は何かアニメというものの本質を暗示しているに違いない。アニメヒロインを論じることは、アニメの本質に迫ることになるだろう。また思春期の子どもがアニメに夢中になるのは、アニメというものが、何か彼らの心に深く触れるためであるに違いない。アニメヒロインに焦点を当ててアニメを論じることは、思春期の心のあり様のなんらかの解明につながるだろう。本書は、深層心理学的アニメ論としての思春期論、あるいは、深層心理学的思春期論としてのアニメ論である。

<目次>
序章
はじめに/アニメと私/あるカウンセリングの過程
第一章 思春期の自我、魂としての「私」
自我のイメージ/アニマ/人魚姫/ヒルマンにおけるアニマの概念/魂/女性の目
第二章 女児の憧れ、男子の慰め―『美少女戦士セーラームーン』論
作品の概要/自分たちの共同体/亜美/お伽話的な世界/イニシエーション
第三章 闇をまとった少女―『スレイヤーズ』論
作品の概要/小さな牙/思春期女子のための男性像/黒魔術/黒魔導士を演じた少女―あるカウンセリングより/イニシエーション
第四章 終わる世界で見つける「私」―『新世紀エヴァンゲリオン』論
庵野秀明とアニメ界の閉塞状況/砂場での人形遊び/作品の概要/隠された力―ゼーレとエヴァ/トラウマ―アスカの場合/アイデンティティ―レイの場合/世界の終わりとはじまり/統合失調症的な様相、ウロボロス状態/父/カウンセラーの自己愛の傷つき、「人間」への理解/自分自身に目醒めた少女たち
第五章 ポスト・エヴァのヒロインたち
I 天才美少女というアイロニー―『機動戦艦ナデシコ』論
作品の概要/「水の音は『私』の音」/結末
II 少女の憧れと戦いの日々―『アキハバラ電脳組』論
作品の概要/揺れる友達関係/結末
III 実存の虚無を見た少女―『lain』論
作品の概要/空中に止まったカラス/結末
第六章 世界の果てにむかう自分探し―『少女革命ウテナ』論
作品の概要/薔薇の花嫁/お伽噺・幻想・幼児期の出来事/兄妹相姦/はじめての性体験/世界の革命のとき
第七章 少女マンガの夢見る力
二十四年組/アニムス/シジギー/少年同性愛の深層―『風と木の詩』論/『エヴァ』と『ウテナ』における同性愛/あるカウンセリングの展開
第八章 CLAMPとそのアニメ化作品
I 思春期の凄惨さと精神性―『X』論
作品の概要/二人の神威と、小鳥の死/結末
II 前思春期の精神性―『カードキャプターさくら』論
作品の概要/家族/同性愛/前思春期の試練
終章
あるスクールカウンセリングの過程/思春期の魂のグロウイング・ダウン

あとがきより
 本書は、90年代活況を呈したアニメ界の動向に、私の10年余のささやかな臨床経験を重ね合わせ、そして私自身の心を見据えながら、そこから見えてきた「一つの筋」を述べ、思春期の心について論じたものである。心は、あるいは魂はと言ったほうがいいが、地上の現実を超えた拡がりをもっている。そんな魂の観点から、私は本書で思春期の心の在り方について考えてみた。魂の観点は、物事の抽象的な「意味」よりは、物事の 「美」、「詩」、「ニュアンス」 などを見たがる。私が行なったことは、臨床経験から一つの 「理論」 を抽出するというよりは、私の心の中で、私の出会ってきたクライエントたちと重なって思われてくる、魂のイメージとしてのアニメヒロインについて語ることで、私の臨床経験を「文学的」に昇華することであったと思う。それが文字どおりの思春期の心にかぎらず、魂といったものに関心をもつ人たちに、少しでも何か示唆を与えることができればさいわいである。
 本書で論じられた「思春期」は、どちらかといえば、思春期早期(一般的に、10代前半)のことであろう。実際、本書で取り上げられたアニメヒロインは、主にその年頃であった。すなわち、異性愛がまだ空想的で、元型的=神話的な領域とつながっていて、空想と現実に引き裂かれているような時期、誰もが危梯的な時期である。思春期後期(一般的に、一〇代後半)には、生はもっと落ち着き、「性」はもっと現実味、日常性を帯びてくる(もちろん人によっては、そうではないが)。逆に明確に病理を呈する子もでてくる。こうした思春期後期は、アニメにはそれほどふさわしいものではないのかもしれない。