内容説明
バブル期には、土地保有コストを上昇させることを主眼として、地価税の導入をはじめとして、土地税制強化策について、さかんに論じられた。社会全体が、土地税制の強化による土地保有コストの上昇を支持していた。しかしながら、バブル崩壊後の今日では、逆に、高くなりすぎた土地保有コストが、土地流動化と景気回復を阻害する要因として、問題にされることが多くなった。その象徴として、税調や国会審議で長年その改廃について論議が重ねられてきたバブル期の税制改革の遺産である地価税について、とうとう平成10年以降の「徴収停止」という窮余の一策が講じられることが決定した。本書は、このような状況をふまえて、当面の土地税制改革の必要性にこたえるとともに、これまでの土地税制改革の歴史によってつちかわれてきた理念・制度における普遍的な要素を検出し、長期的な土地税制の構造改革の要望にこたえようとするものである。
目次
第1章 資産課税の役割と土地税制の概要
第2章 所得税の諸問題
第3章 相続税等の流通課税
第4章 固定資産税の性格と評価の実際
第5章 政策税制の課題と展望
第6章 旧都市計画法期の土地課税