出版社内容情報
現在は名誉毀損・医療・知的財産・交通・国家賠償・学校・職場・家庭などの分野ごとに縦割りになっている不法行為法上の問題点を,改めて損害賠償請求という横串を通して整理し再検討することで,損害賠償請求訴訟の現在の到達点を立体的に俯瞰できるようになり,今後の実務に役立つのではないかとの考えのもとで検討した。
各分野で定評のある現職の裁判官や元裁判官を中心に執筆をお願いし,その実務経験に基づく叡智をお借りした。裁判官にはあまり馴染みがない分野についてはその分野を専門に研究している先生方にも執筆をお願いし,総勢95人の裁判官,元裁判官,研究者に論考を寄せていただいた。
全4巻の本書は,実務で問題となる損害賠償請求訴訟におけるこれまでの到達点が簡潔にわかりやすく説明されているだけではなく,これまで通説・判例とされている議論に対し果敢にチャレンジしてこれからのあるべき損害賠償請求訴訟の姿を提示しようとする論考や,これまでにはない視点からの検討を含む論考も少なくなく,まさに現時点における損害賠償請求訴訟の実務を立体的に俯瞰することができる有益な実務書となっている。
訴訟を担当する裁判官や弁護士だけではなく,損害賠償請求に関係する多くの方々に本書を手に取ってその完成度を確認してもらいたい。
【目次】
【第Ⅱ巻】―医療・国家賠償・地方自治―
Ⅰ 医 療
1 医療契約と医師の説明義務〔馬場俊宏〕
2 医師の注意義務の内容・程度・転送義務など〔國屋昭子〕
3 産婦人科医療における過失の有無〔鈴木雅久〕
4 健康診断におけるがんの見落としや,がん治療における過失の有無〔鵜飼万貴子〕
5 精神科医療における過失の有無〔村田渉〕
6 終末期医療における過失の有無〔島村典男〕
7 美容整形・審美歯科・痩身健康法などにおける過失の有無〔深見敏正〕
8 看護師・助産師・薬剤師の過失の有無〔古賀大督〕
9 救急搬送における救急隊員の過失の有無〔筈井卓矢〕
10 医薬品の添付文書をめぐる損害賠償責任〔鈴木和孝〕
11 交通事故と医療過誤の競合〔大島眞一〕
12 医療事故訴訟における証明責任と証明度〔須藤典明〕
Ⅱ 国家賠償
13 立法不作為の違法・法令解釈の誤りに対する損害賠償請求〔清野正彦〕
14 裁判官・検察官の違法な職務行為などに対する損害賠償請求〔岡崎克彦〕
15 公証人・登記官・執行官の過失などに対する損害賠償請求〔松本光一郎〕
16 警察官の違法な職務行為などに対する損害賠償請求〔竹内友紀子〕
17 刑務所(拘置所)職員の違法な職務行為に対する損害賠償請求〔菊池浩也〕
18 薬害・アスベスト・労働安全関係機関の権限不行使などに対する損害賠償請求〔深見敏正〕
19 地方自治体等の違法な許認可や課税等に対する損害賠償請求〔平山馨〕
20 地方公務員による個人情報の漏えい・プライバシー侵害などに対する損害賠償請求〔河野一郎〕
21 地方公務員による生活保護や行政サービスの拒否などに対する損害賠償請求〔古河謙一〕
22 公民館などの公共施設の利用や利用拒否などによる損害賠償請求〔倉澤守春〕
23 道路の管理不備や河川の氾濫などに対する損害賠償請求〔間史恵〕
24 地方自治体が開設した避難所での健康悪化やウイルス感染などに対する損害賠償請求〔島崎邦彦〕
25 公務員個人に対する損害賠償請求の可否と国や地方自治体からの求償請求〔深見敏正〕
26 ダム建設などに対する損失補償と損害賠償〔吉田尚弘〕
内容説明
実務に精通した裁判官・元裁判官・研究者95名が集結!!判例・学説を整理・分析し損害賠償法の到達点を俯瞰しつつ現在の問題を鋭く究明。
目次
1 医療(医療契約と医師の説明義務;医師の注意義務の内容・程度・転送義務など;産婦人科医療における過失の有無;健康診断におけるがんの見落としや、がん治療における過失の有無;精神科医療における過失の有無 ほか)
2 国家賠償(立法不作為の違法・法令解釈の誤りに対する損害賠償請求;裁判官・検察官の違法な職務行為などに対する損害賠償請求;公証人・登記官・執行官の過失などに対する損害賠償請求;警察官の違法な職務行為などに対する損害賠償請求;刑務所(拘置所)職員の違法な職務行為に対する損害賠償請求 ほか)
著者等紹介
須藤典明[スドウノリアキ]
日本大学大学院法務研究科客員教授・弁護士・元東京高等裁判所部総括判事
深見敏正[フカミトシマサ]
弁護士・元東京高等裁判所部総括判事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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