感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
またの名
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子どもにとって、様々な対象が敵だったり使い魔だったり守護者だったり自分だったり自分の一部だったりする(あとそこに「人形がママで剣がパパで合体するのね」とクラインが解釈を付加)。脅し噛み千切りむしり取り等々と子どもを迫害したり反対に守る諸対象との戦いの中で、加えた攻撃に対し報復される不安が増し、しかも対象に自分の一部を投影し対象を自分の中に取り込む混沌において、迫害者の反撃はすでに体内に侵入。自分の愛するものを攻撃衝動からこの手で破壊してしまったという罪悪感さえ生じるが、破壊後に修復し償う願望を抱くと説く。2017/10/02
Masakazu Shimamura
1
ようやくメラニー・クラインの原著、妄想的分裂的世界から。生後4ヶ月から6ヶ月の乳児の心の世界及びボーダーライン以下の病態水準における心の世界を並外れた臨床的観察眼で射抜く。未だことば無き原始的な心の世界を言語化して記述していく彼女の挑戦。1つ1つの論文には、多くの注釈が用いられ、中には1ページにも及ぶものもあり、彼女の必死さが伺える。本書を情緒的・知的理解を通して読み進める事は可能だか、死の本能から派生する乳児の残虐的で破壊的な世界の追体験は容易ではない。健康的な私の心がそれを阻み、触れられなさを感じた。2017/07/09
Yoshinori Ueno
0
これぞクライン!2015/06/09