出版社内容情報
様々なトラウマ的な出来事に対して、起こった事態ではなく自分自身の主体を中心に据えて立ち向かってゆくことの大切さを提示する。 火事、強迫神経症、摂食障害、性的虐待、急性疾患など様々な外傷的な問題をもつ人の背後に両親や幼児期の葛藤、無意識に隠された欲望をみつけ、それを分析家に語ることで方向性を見いだしていく過程を鮮やかに描く。私たちが生きる上でみずからが自分自身の主体となって生きることの重要性を症例と共に分かりやすく解説する。ラカン派の精神分析の治療過程が分かるだけでなく、現代社会でトラウマに向き合う上で精神分析がなぜ必要とされるかが語られる。
プロローグ
イントロダクション
フロイトと外傷
ファンタスムと外傷
分析を開始することは真の行為である
I 幼児期の侵害
ニーナの秘密
意味の探求
ファンタスムの構築
名付けられない現実界
めまい
文字通りとられたシニフィアン
分析家の選択
新しい結び目に向かって
? セクシュアリティは常に外傷的である
天使ガブリエル
失われた楽園
外傷の三つの時
幸せな解決法
リュシーにとってのひとつの謎
不安は騙さない
分析の謎
症状は外傷への返答である
リラの隠された宝
遮蔽想起のほうへ
恐ろしい共犯
解決を示す夢
父親の失墜
「無」という対象の威力
? 愛の傷
謎の女アナ
致死的な同一化
災禍
不安、欲望、羞恥
三羽のカラスの夢
エピローグ
フローラと分析家、そして小さなノート
セクシュアリティ、この解けない謎
分析あるいは言語の実験室
全てが解決するわけではない
休戦
不安定な均衡
精神病の危機
思いがけない発見
? 死と喪
勇敢な少年、リュ
解釈を急がないこと
忘却の解消
「失踪した」父親の喪に服すること
アリス、人形と幽霊
幻覚的現象
空を満たすこと
支えとなる知
影の国のヴィクトール
不安と苦悩に対するユーモア
母親の物であること
ひとつの喪の背後にはもうひとつの喪が隠されているかもしれない
V 究極的脅威
誰も自らの死を想像することはできない
ひとつの原因の探求
罪責感から謎へ
暗号化と解読
事後的効果
全てが修復されるわけではない
結 論
監訳者あとがき
用語解説
ソニア・キリアコ[キリアコ ソニア]
Sonia Chiriaco|精神分析家。エコール・ラ・コーズ・フロイディエンヌ派・精神分析世界協会(AMP)会員
向井 雅明[ムカイ マサアキ]
精神分析家
内容説明
外傷体験はショックや傷、それとともに、不安、悪夢、症状、欲望の停止などを思い起こさせる。そこからどのようにして抜け出せばよいのだろうか。いくつもの臨床的事例によって、いかに外傷の主体的経験は常に特異的であり、どのように分析経験は各自にその人独自の解決法を創出させ、はまり込んだ袋小路から抜け出すのを可能にするかを例示する。
目次
1 幼児期の侵害(ニーナの秘密;めまい)
2 セクシュアリティは常に外傷的である(天使ガブリエル;リュシーにとってのひとつの謎 ほか)
3 愛の傷(謎の女アナ;フローラ、分析家、そして小さなノート ほか)
4 死と喪(勇敢な少年、リュ;アリス、人形と亡霊 ほか)
5 究極的脅威
著者等紹介
キリアコ,ソニア[キリアコ,ソニア] [Chiriaco,Sonia]
パリ在住精神分析家。エコール・ド・ラ・コーズ・フロイディエンヌ派(ECF)および精神分析世界協会(AMP)会員
向井雅明[ムカイマサアキ]
1948年香川県生まれ。パリ第8大学精神分析学科DEA修了。精神分析家。東京および高松で「精神分析相談室」を開設。東京精神分析サークル代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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