出版社内容情報
タビストック・クリニックの指導的心理療法士が、子どもの心理・社会的発達に関する重要な問題について、解決に導く論点を提示する
タビストック・クリニックの指導的心理療法士が、子どもの情緒発達に関するアタッチメント理論、神経科学、発達心理学等の領域の調査・研究から分かってきた事柄をまとめた、エキサイティングなテキスト。本書を一読することで、心理的・社会的発達に関する重要なテーマが概観できる。受精から成人に至るまでの、驚くべき発見に満ちた人間のこころの旅路に関する多くの問いへの答えが、ここにある。
日本語版に寄せて
謝辞
第1章 序論:群盲象を評す
素質と環境/多様な視点/育まれない子ども,野生児,そして人としての育みに欠けていること/本書の構成
Part 1 情緒的・社会的発達の始まり
第2章 命の始まり:受精から誕生まで
まだ生まれていない赤ん坊の観察/親の影響はいつ始まるのか:生物学と心理学の出会い/持続的影響と社会的影響/生まれるということ/まとめ
第3章 関係性の中に生まれてくる
未成熟さ/絆形成:人間は醜いアヒルの子ではない/関係を作っていくことになっている/乳児の模倣と偶発性/調和,情動調整,マーキング/母性本能を問う:遺棄と乳児殺し/同調化,文化,そして私たちの一員になっていくこと/まとめ
第4章 共感,自己,そして他者のこころ
他者のこころを理解する早期の萌芽/9カ月以降の急速な発達/こころの理論/例外:自閉症の子どもの場合/共感,ミラーニューロン,リゾラッティのサル/まとめ:こころを理解すること
Part 2 さまざまな観点から
第5章 アタッチメント
アタッチメント理論の第2段階:メアリー・エインズワースとストレンジ・シチュエーション法/私たちの中のアタッチメント/アタッチメントの伝達/アタッチメント理論と文化/アタッチメントと障害/まとめ
第6章 生物学と脳
私たちの脳と進化/依存の体験/さまざまなホルモン/左脳と右脳/トラウマとネグレクト:扁桃,海馬,HPA軸/まとめ――希望か,それとも望みなしか?
Part 3 発達の力とその諸段階
第7章 言語,言葉,そして象徴
ペアレンティーズと乳児に向けられる発話/文化と言語/間主観性と言語を学ぶこと/言語と脳/言語と情緒プロセス/言語能力と社会的利点/まとめ
第8章 記憶:自分が何者で,何を期待するのかについて学ぶ
未来を予測するものとしての脳/出来事と事実の記憶/自伝的記憶/トラウマ,記憶,そして忘れること/まとめ
第9章 遊び:楽しみ,象徴化,練習,そしてふざけること
乳児期の遊び/他の種における遊び/無鉄砲さ/遊びの種類と学びの種類/こころの窓としての遊び/遊び,ふりをすること,象徴,そしてこころが育つこと/まとめ
第10章 大人に向かって
思春期の脳/アタッチメントの減少/セックスと恋愛/リスク,問題,そしてレジリエンス/本章のまとめ:思春期と成人期の始まり
Part 4 早期の体験の結末
第11章 トラウマ,ネグレクト,そしてその影響
ネグレクト/不適切な養育,トラウマ,そして虐待/長期に及ぶ影響/無秩序・無方向型アタッチメント/まとめ
第12章 遺伝子,素質と養育
遺伝子は自分と他者の行動に影響を及ぼす/遺伝子がすべてではない/まとめ
第13章 本書のまとめ:早期の体験とその長期的な結末
アタッチメントと早期の体験の影響/子ども時代のトラウマと良い体験の欠如/どのような変化が可能なのか/おわりに
用語集
文献
監訳者あとがき
事項索引
【著者紹介】
Graham Music|タビストック・クリニック副臨床科長、コンサルタント子ども・青年心理療法士
目次
序論:群盲象を評す
1 情緒的・社会的発達の始まり(命の始まり:受精から誕生まで;関係性の中に生まれてくる;共感、自己、そして他者のこころ)
2 さまざまな観点から(アタッチメント;生物学と脳)
3 発達の力とその諸段階(言語、言葉、そして象徴;記憶:自分が何者で、何を期待するのかについて学ぶ;遊び:楽しみ、象徴化、練習、そしてふざけること;大人に向かって)
4 早期の体験の結末(トラウマ、ネグレクト、そしてその影響;遺伝子、素質と養育;本書のまとめ:早期の体験とその長期的な結末)
著者等紹介
ミュージック,グレイアム[ミュージック,グレイアム] [Music,Graham]
英国タビストック・クリニックの副臨床科長を務め、現在ポートマンクリニックに勤務。コンサルタント子ども・青年心理療法士。成人心理療法士として個人開業も行っている。主な臨床的関心は、心理的援助サービスを学校などの地域社会に拡げること、公的保護下にある子どもや養子となった子ども、そして彼らが成人となる過程に関することである。英国内をはじめ、海外でも多くの講座で教鞭をとり、訓練を行っており、Journal of Child Psychotherapyの編集委員として、特に発達調査・研究と治療的実践の接点に関する書籍を刊行してきた
鵜飼奈津子[ウカイナツコ]
2004年The Tavistock Centre,Child & Adolescent Psychotherapist取得、University of East London,Master in Psychoanalytic Psychotherapy取得。現在、大阪経済大学人間科学部人間科学科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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