出版社内容情報
中国女性史は再構築の時期を迎え、いまだかつてなかった自由な視点からの研究が要求されている。2005年に刊行された『中国女性史入門』はこれらの研究をふまえ、通史的に古代から現代までを見渡した新しい入門書として広く受け入れられた。それから8年、北京オリンピックの後、著しい経済成長を遂げた中国は大きな変容の過程にある。
本書は、新しい項目を追加し、現代の最新研究の見地を盛り込んだ増補改訂版である。初学者にも最適の研究案内を付す。
【著者紹介】
野村鮎子(奈良女子大学文学部教授)、成田靜香(関西学院大学文学部教授)らによる関西の女性史研究会。
内容説明
テレビや映画、インターネットを通じて、あるいは旅行や留学で実際に出会う中国の女性たち。これまでの女性解放運動史に記されなかった、生身の彼女らが背景としている歴史や文化の真実を探る。新時代の中国女性史。テーマ別の8章77項目から構成。現代中国の法律や制度に関する記述は、2013年11月現在の状況にもとづき、巻末には本書に登場する事項を中心とした略年表と索引を附した。
目次
1 婚姻・生育
2 教育
3 女性解放
4 労働
5 身体
6 文芸
7 政治・ヒエラルキー
8 信仰
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
崩紫サロメ
16
本書のタイトルについては、編集委員自身も悩んだという。「中国女性史」という言葉から、ある年齢以上の人は近現代の女性解放運動史を連想するからである。だが、本書のコンセプトは「解放運動に限定されない、テーマ別に古代から現代までの中国女性について俯瞰できるような女性史」である。中国語学、中国古典文学・近現代文学、中国考古学・古代史・近代史・女子教育史・思想史・社会学など多岐に渡る執筆陣による本書はこれから統合し、再編していくべき中国女性史のまさに「入門」というべきものとなっている。2021/06/23