内容説明
グローバル化、脱工業化、多文化化の進む現代社会は、その一面が豊かな社会として捉えられこそすれ、均質な社会でも、平等な社会でもない。むしろ異質性・差異と不平等の関係がかつてなく鋭く問われる社会となっている。経済財の配分をもって公正を議論することは限られたアプローチにすぎず、それをどのように超えて質的で、多尺度の成立可能な社会的条件のなかに公正の基準を見出していくか。今日の教育、福祉、社会運動、移民の研究に携わってきた研究者が、「公正な」関係や秩序とは何かを問う。
目次
公正への社会学的問い―問題の見取り図
第1部 現代社会と公正(現代福祉国家のゆくえと公正―ともに生きるという「やさしさ」;地方分権は公正な社会を可能にするのか;個人化しゃかいにおける再生産―階級とジェンダーをめぐって)
第2部 教育における平等と公正をめぐって(教育におけるジェンダーとペアレントクラシー―親が娘と息子にかける教育期待の違い;家庭教育への要請と母親の就業―母親の就業を不利にする教育のあり方をめぐって;他文化社会と教育の社会的公正―ニューカマーの子どもが抱える学習的困難)
第3部 グローバリゼーションとエスニシティ―共生と公正(人種的公正の観点からみたアメリカ公民権政策―自由と平等の葛藤とその乗り越え;フランス共和国とエスニック統計―移民の統合と平等をどう実現するか;アイデンティティの形成と「本国」イメージの問題―在日朝鮮人と朝鮮半島;ニューカマー永住外国人と新たな市民権―トランスナショナルな中国人移住者の場合)
第4部 開発とジェンダー(開発・発展におけるジェンダーと公正―潜在能力アプローチから;開発援助、公正、ステレオタイプ―イエメンの事例から)
著者等紹介
本田量久[ホンダカズヒサ]
立教大学社会学研究科博士後期課程修了(社会学博士)。東海大学観光学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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