出版社内容情報
道徳の時間、女子生徒が標的となったある遊びの犯人捜しが行われる。真犯人は一体誰なのか─? 恐るべき子供の世界を描いた2編。
内容説明
むき出しの衝動と欲望。子供たちは無邪気で残酷だ。小学校5年のクラスで、女子生徒が標的となったとある「遊び」。道徳の時間、その犯人捜しが行われるが、小さな嘘によって事態は紛糾し―。(「道徳の時間」)。孤高の幼稚園児タカシは、保育園から来たコウジとともに、園内で強大な権力を持つクラトに闘いを挑むが…!?(「園児の血」)。鬼才・前田司郎による、恐るべき子供の世界を描いた2編。
著者等紹介
前田司郎[マエダシロウ]
1977年、東京都生まれ。劇作家、演出家、小説家。劇団「五反田団」主宰。05年、『愛でもない青春でもない旅立たない』で小説家としてデビュー。07年、小説『グレート生活アドベンチャー』が芥川賞候補となる。08年、戯曲『生きてるものはいないのか』で岸田國士戯曲賞、09年、小説『夏の水の半魚人』で三島由紀夫賞、15年、NHKドラマ『徒歩7分』で向田邦子賞、16年、映画『ふきげんな過去』でTAMA映画賞・最優秀新進映画監督賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いちろく
33
紹介していただいた本。今の幼稚園や小学校の教育現場は知らないけれど、私が子どもの頃は色々な意味で今なら問題になる様な教師の権力も残っていた世代。子どもの世界観は大人よりも表に現れやすい分、見え難い所に目が向けられない可能性はあるし、子どもから見たら自分の気持ちを上手く伝えらず、大人の価値観に抑え込まれてしまう所があるのは否定できない。教師と生徒、生徒と生徒間の個の違いを描いている作品。教師も子ども達も、良い所だけでなく残酷な面がある事も否定できない。にんげんだもの。不謹慎だけれど、笑えてしまう箇所もあり。2021/05/16
のりすけ
20
カンチョーを主軸に思春期手前の子供たちの心の移ろいを描いた『道徳の時間』。ハードボイルド園児たちの園内抗争に恐怖の対象ブチューマンを絡めて描いた『園児の血』。これは何を読まされておるんじゃろう?と脳内で「?」が飛びまくる。頭痛の原因が何なのか知りたくて最後まで読んだのに、結局消しゴムなめすぎのせいってことでOKなん?関西人、オチがないと落ち着かん。2022/07/14
スナイデル
15
32022/06/12
丸々ころりん
10
「園児の血」幼稚園が舞台と言われなければ,組の権力闘争かと思わせる ビビリを隠し背伸びして自分を大きく見せるタカシを中心に園内の権力争いのお話。 「道徳の時間」カンチョウという行為を通して、性の意識の目覚め•教師がまだ自分の考えを押し付けても,問題視されることの少なかった時代の話。2022/01/15
SAT(M)
9
表題作も良かったのですが、「道徳の時間」の方が好み。小学生は自分の気持ちをうまく言語化できないまま、理由もわからず感情が昂ぶったりするものですが、そんな本人も分かっていない心理まで冷静に分析する「神の視点」で小学生の教室で起きていることを描いた作品。この視点自体は非現実的ですが、そこに描かれている心理はどこか懐かしく、思い出したくない感覚まで思い出させるような強烈なリアリティを感じます。教師の心理もこの視点の例外ではなく、教育者の良心が抑圧しているであろう感情まで、無慈悲にも白日のもとに晒されている‥。2020/12/19
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