出版社内容情報
唐から元に至る間の中国の正史に残された日本伝の記述を選び,一冊に収める.阿倍仲麻呂・空海らの遣唐使の記述をはじめ,当時の日本の風土や外交,特に元寇をめぐる両国の交渉について詳しく記され,日中交渉史の点からはもちろん,中国人の日本観の変遷を読みとる上でも恰好の書である.原文(影印)・現代語訳を新たに付す.
感想・レビュー
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molysk
61
遣唐使による交流が深まった唐代だが、旧唐書倭国日本伝の記述は意外にも短い。日本にとって唐は画期的な模倣先である一方、唐にとって日本に特筆するものはなかった。唐に仕えた阿倍仲麻呂の記述が残る。宋史日本伝では、歴代天皇や五畿七道の詳細な記述が加わり、外国伝として体裁が整う。日本の歴史地理がかなり詳しく中国に知られていたと言える。元史日本伝では日元交渉から二度の元寇へ。幾度の国書は黙殺され、大軍は日本に赴く。戦いの記述は短い。暴風舟を破る。日本人来り戦い、尽く死し、虜去せらる。十万の衆、還るを得たる者三人のみ。2024/02/25
金吾
25
中華帝国からみた日本を想像しながら読めます。唐においては全く興味ないのだなあと感じます。宋史日本伝は意外なことを詳細に書いていて面白かったです。2022/04/12
金吾
20
宋史日本伝はかなり面白かったです。再読ですが、内容は忘れていましたので、新鮮な楽しさを感じました。2024/03/09
壱萬参仟縁
13
五代後晋の劉昫の奉勅撰、『旧唐書』(15頁)。元の脱脱の奉勅撰、『宋史』(19頁)。明の宋溓の奉勅撰、『元史』(22頁)。中国では日本がどう残され、記録されているのか、というもの。原文難解のため、現代語訳を頼った。分量はあっけいないほど少ない。ただ、漢字は難解。橘逸勢や空海の文字もある(96頁、原文にも41頁に登場)。相互交流なのだから、自分たちが学んだことも貴重である。さらに、どのように彼らには映ったのか、検証する視点は持ちにくい。附録原文をみると、余計に難解。2013/08/22
perLod(ピリオド)🇷🇺🇨🇳🇮🇷🇿🇦🇵🇸🇾🇪🇸🇾🇱🇧🇨🇺
9
『魏志倭人伝・後漢書倭伝・宋書倭国伝・隋書倭国伝』の続き。こちらも原文は全て影印。参考原文は色々あるが返り点すらないので読むには根気が要る。ただ「新唐書」は重要。 「旧唐書倭国日本伝」所謂「九州王朝説」の根拠。倭国と日本(ヤマト)が別々に記述されており、虚心に読めば別々の国だと分かるはず。しかしこの説の悲劇は提唱者が『東日流外三郡誌事件』で信用を失った事だった。あれさえなければここまでこの説が相手にされなくなる事もなかっただろうに。→2023/06/21