内容説明
映画とともに生き、道なき道を切り拓いてきた著者が、70歳を機にその半生と映画論を縦横に語った「自伝のような一冊」。生い立ち、自主製作時代、尾道三部作、これからを生きる人たちへのメッセージ…すべての人の背中を押す、勇気の書。長年親交のあった赤川次郎氏が、惜別の想いを込めて綴った文庫版解説「『ふたり』の思い出」を収録。
目次
プロローグ 眠っていた山彦が目覚めて 美しい日本が戻りはじめた
第1部 二十世紀の海彦語る(ぼくの生い立ち 美しい日本人がいた尾道;個人映画の時代とCM黎明期;ぼくの映画づくり―最初の「尾道三部作」を中心に)
第2部 二十一世紀への序奏(バブル崩壊 変貌する日本のなかで)
第3部 二十一世紀の山彦語る(大分、信州 山彦の映画づくり;映画づくりを教える現場から)
エピローグ 「おれ、また新人だ。つくり出す映画がきっと変わるぞ」
著者等紹介
大林宣彦[オオバヤシノブヒコ]
映画作家。1938年広島県尾道市生まれ。自主製作映画やCMを多数手がける。77年『HOUSE/ハウス』で商業映画に進出。『転校生』(82年)『時をかける少女』(83年)『さびしんぼう』(85年)が“尾道三部作”と称され親しまれる。2004年春の紫綬褒章受章、09年秋の旭日小綬章受章。19年文化功労者に選ばれる。20年4月10日死去。旭日中綬章、従四位を受領(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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keroppi
78
今月に入って、やっと一冊目。自分の人生にとっても大きな転換期であろう日々を送ってきたここ数日、この大林宣彦さんの本を少しずつ読んでいた。大林さんが振り返る映画人生は、とても興味深く、優しさと映画愛に満ちていた。そういえば、これまでも自分の人生の側に大林さんの作品がいてくれたなぁと感慨深かった。実家の倉庫に眠っていた古いパンフや自分で作ったスクラップブックに大林さんのものを見つけ持ち帰った。あの映画に初めて触れたときの瑞々しい感じを思い出す。「70歳は新人」と語る大林さん、私もそんな気持ちで歩いていきたい。2020/10/06
むう
0
昔からずっと自分の中の「いちばん好きな邦画」は「さびしんぼう」だった。そのモチーフが大林監督の映画人生のごく初期からあったものだということ、ショパンの「別れの曲」への思い入れなど、初めて知ることが多かった。6,7年前にある映像コンクールの講評で、映像のことなどほとんど触れずに、若者にひたすら平和を訴え続けていた姿が思い出された。2020/10/10
レンコン餅
0
エピソードも深みがあって読みごたえがあるのだけど、解説に書いてある赤川次郎先生の原作者としての文章が興味深い2020/08/08