内容説明
河童に関する逸話をもつ浅草・曹源寺裏手で診療所兼手習塾を営む美貌の町医者・斎藤涼水。「かっぱ先生」と呼ばれ、貧しい患者、孤児・片親など複雑な境遇の子供達に尽くしている。身寄りを喪くした十七歳の文月は図らずも、浪人・花房右近親子と住み込みで働くことに。塾で起こる不可思議な出来事、子供達や飼い猫との交流を通じ、文月の心はじんわりほぐされていき…。
著者等紹介
田牧大和[タマキヤマト]
1966年東京都生まれ。2007年「色には出でじ風に牽牛」(『花合せ』に改題)で第2回小説現代長編新人賞を受賞し、作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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初美マリン
120
心の傷を治す手習い塾とでもいうのか、方法は、一つゆっくり話を聞いてあげることかもしれない2020/02/15
タイ子
92
とってもとっても癒される優しい作品。なので、少しぐらいメリハリあってもいいんじゃね?とか思いながら読んでると終盤少し盛り上がりシーンがありやっぱ田牧さんのお話好きだなぁと思った次第。河童に纏わる話があるお寺の裏に診療所と手習い塾を兼ねた場所がある。そこに訳あり浪人と共にやってきた天涯孤独な少女、文月。診療所には美貌と優しさ、賢智を兼ね備えた町医者がいた。不思議な出来事も河童のせい?時折やってくる周りのお寺のお坊様もいい。きっつい小説を読んだ後これを読めば心がほどけていくようなそんな作品。2020/01/16
はる
69
田牧大和さんらしい、優しい物語。読みやすい。派手な活劇やサスペンスはありませんが、その分、ほのぼのとした雰囲気。他の作品よりも繊細な感じかな。タイトルのイメージとはちょっと違ったけれど、登場人物が魅力的です。まだ描かれていない部分が多いのでシリーズ化しそうです。2020/03/12
雅
60
感情を封じ込んだ文月が住み込む事になった療養所兼手習所で、明るさを取り戻していく。癒されるいいお話しでした。シリーズ化するのかな?ぜひして欲しいな2020/01/13
ぶんこ
58
気配を消して目立たないように暮らしていた文月でしたが、唯一の身内くめばあちゃんに先立たれ、長屋を追い出されてしまいます。行き場を無くした文月と浪人の花房親子が行き着いたのは診療所兼手習所。イケメン涼水先生と子どもたちの生活の中で、文月に笑顔が増え、花房の子小太郎も元気になっていくのですが・・。カッパ先生こと涼水先生の元、心優しい人々が集まっていて楽しい。特に猫の「つき」が最高です。心や体を患っている人のそばに付き添ってくれる姿に、我が家のニャンコがそっと付き添ってくれた日を思い出し和みました。2020/07/03
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