出版社内容情報
元五輪金メダリストが突然の現役復帰。旧友の新聞記者が理由を追い取材を重ねる中で、ある疑念が――傑作スポーツサスペンス!
内容説明
クロスカントリースキー選手・竜神真人が現役復帰した。二大会連続で五輪金メダルを獲得、国民的英雄と祟められ引退した竜神。彼の評伝執筆に取り組む新聞記者で旧友の杉本直樹は、復帰の真意を探って取材を重ねるうち、ある疑念を抱く。竜神は“致命的なルール違反”を犯したのではないか―。記者の使命と友情の狭間で、杉本は真実に迫るが…。
著者等紹介
堂場瞬一[ドウバシュンイチ]
1963年生まれ。青山学院大学国際政治経済学部卒業。2000年『8年』で第13回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アッキ@道央民
70
平昌オリンピック開催中のこの時期読むのにぴったりな作品だったかも・・・。雪上のマラソンとも言われるクロスカントリーを取り上げた作品。かつてオリンピックで金メダルを獲得。まさしくヒーローになった竜神真人。惜しまれつつ引退して指導者にもならずにひっそり過ごしていた彼が復帰するという所から始まる物語。友人でもある新聞記者が取材を進める過程で驚愕の事実が・・・。冬季オリンピックの競技、実際にまだまだマイナー競技が殆んど。自分が活躍する事で競技をメジャーにという思いがある一方、いけない事だと理解しつつもルールを破り2018/02/21
ばりぼー
51
2大会連続でオリンピック金メダルを獲得し、国民的ヒーローとなって引退したクロカン選手が2年間のブランクを経て突然の現役復帰を表明。3度目のオリンピックではなく国内の大会での優勝を目標とする復帰の真意を、密着取材を続ける旧友の新聞記者視点で探っていく。マイナー競技ゆえの苦労、第一人者ゆえの苦悩が多くの証言から浮き彫りにされていく構成の妙は良質のノンフィクションさながら。「重大なルール違反」のネタをつかんだ記者の葛藤も、安直な正義感を振りかざす昨今のメディアに対する問題提起として、いろいろと考えさせられます。2018/01/28
Junichi Yamaguchi
46
『ルールはルール』… 序盤はタイトルを忘れて読み進めたが、後半になるにつれタイトルが重くのし掛かってきた。 堂場さんが描くスポーツの光と影… このヒリヒリ感がたまらない。。2017/10/31
らむり
42
ノルディック複合は平成始め頃の荻原健司さんらの活躍で一気に脚光を浴びましたが、本作のノルディック距離はオリンピックでメダルとかまだ日本は取れてないんじゃないでしょうか??残念ながらマイナースポーツですね。けれどノルディックスキーは私にとって一番熱くなれるスポーツの一つ。そんなノルディック距離を取り上げたこの作品は、レースの臨場感、選手・人間としてのあり方を考える機会となる素敵な小説だと思います。二ヶ月後の冬季オリンピックが本当に楽しみです。2017/12/07
背古巣
40
『やり残したことがある』竜神が現役復帰時コメントの真の意味について、読んでいるうちにたどり着いた考えが当たってしまった。これまで"チーム"、"ヒート"、"チームⅡ"、"水を打つ"と堂場氏の作品を読んできたが、それとはずいぶんと趣がちがった内容だった。読み始めは「面白い!」だったのが、物語が進むにつれて重苦しいものになっていく。題名の「ルール」が、読み終えた今、重い。2017/10/09