出版社内容情報
特急列車に運ばれて、信州・高遠へ。仕事も恋も中途半端な女性が、新しい自分に気づいていく姿を瑞々しく描く青春・恋愛小説。
内容説明
空回りしがちな仕事と、望まない結婚を迫る恋人を置いて、介護福祉士の梓は、新宿駅から特急あずさに乗り込んだ。諏訪湖畔で出会った陶芸家の桂に連れられ、泊まるところのない梓は長野・高遠町の民宿へ。雄大な自然とのんびり暮らす人々に囲まれて過ごし、心は揺れ動くが…。高遠と東京を行き来しながら、新しい生き方を見つけていく女性の姿をいきいきと描く。
著者等紹介
坂井希久子[サカイキクコ]
1977年和歌山市生まれ。同志社女子大学学芸学部卒業。2008年「虫のいどころ」で第88回オール讀物新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
191
ハードカバー『迷子の大人』の文庫化を再読です。やっぱり読書って、読むタイミングによって、捉え方が変わるなぁと改めて感じる作品でした。初めて読んだ時は主人公「梓」の再生?っぷりが印象的でしたが、今回は「桂」さんの不器用なオトコっぷりがココロに残りました。主人公「梓」に対しては、きっと女性目線なら賛否両論になるのかなと思います。きっと読む側のタイミングやシチュエーションで好き嫌いが別れるかなぁと。でも、色んなコトにちょっと疲れ気味な方が読むには、ちょうどいい感じの処方薬になると思われるので、気軽に読めるかな。2017/07/11
しんごろ
190
自分も現実逃避したくなることある。遠くに逃避したくなる梓の気持ちがわかる。梓だけに特急あずさ号で逃避行。行った街が魅力的。長野の髙遠町。タカトオコヒガンザクラ見たいなあ。流されやすい梓、不器用な桂。くっつきそうでくっつかない。もう焦れったい。坂井希久子作品は、どれも恋愛に関しては焦れったくてもどかしい。焦れったいけど恋愛のリアルさも感じるのが坂井希久子作品の特徴でもある。それは置いといて、温かさと人情を感じるほのぼのした物語。介護福祉士の大変さもわかり、介護福祉士さんを応援したくなる物語でもあった。2023/01/30
相田うえお
126
★★★★☆18074 ホームヘルパーを一生懸命頑張るんだけど、ちょっぴり鈍臭くて失敗が多い女性が主役です。けど優しくて心清らかな感じを受けます。舞台の半分は高遠です。町の人はみ〜んないい人!高遠での話は安心してほげほげ〜のほほ〜んと読む事ができました。仕事先では若干重めの出来事もありましたが、ほんと心地いい作品でした。特に宿の料理が美味そうで腹が鳴りそう〜(こんにゃくの唐揚げ食べてみたい!)都会であくせく働いてないで田舎で楽しく暮らせればいいんだけどね〜、なんかキッカケがないとね。個人的には好印象な作品!2018/09/02
takaC
86
何年か前に単行本を読み感想は記憶に残っているのだけど詳細な内容は憶えていなかっため改めて新鮮な気持ちで読めた。文庫化で追加されたらしいオマケも含めて良い小説でした。2016/04/22
えりこんぐ
73
何冊か読んでる坂井さん、これも面白かった(゚∀゚) 思い通りにならないホームヘルパーの仕事や専業主婦を求める恋人にもやもやするなか、ふと旅した高遠町に癒される梓。東京での暮らしに疲れるとふらりと高遠へ...いい子なんだが、流されたり逃げてばかりじゃ簡単には幸せになれない。もう、この子は!と思いながらも、だんだん梓のことが愛おしくなってくるから不思議(´ω`)2019/05/08