内容説明
保科正之(肥後守)は、会津初代藩主として藩の経営にめざましい手腕を発揮したのみならず、事実上の副将軍として徳川幕府を支えた。異母兄の三代将軍徳川家光との邂逅から、明暦の大火の収束と江戸復興計画のユニークな発想、温情にあふれた名裁き…国の危機に最も必要とされるリーダー像とされる、不世出の名君の人となりを興味深い逸話で描き出す傑作小説集。
著者等紹介
中村彰彦[ナカムラアキヒコ]
1949年栃木県生まれ。東北大学文学部卒業。出版社勤務を経て、文筆活動に入る。87年『明治新選組』で第10回エンタテインメント小説大賞を受賞。93年『五左衛門坂の敵討』で第1回中山義秀文学賞、94年『二つの山河』で第111回直木賞、2005年には『落花は枝に還らずとも』で第24回新田次郎文学賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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タツ フカガワ
27
二代将軍秀忠の庶子で、後に名君/名宰相と呼ばれた会津初代藩主保科正之がときに主人公に、ときに脇役に回っての全11話の短編集はどれもハズレ無しの面白さでした。それもユーモア交じりの武勇伝もあれば、涙を誘う物語や時代ミステリーなどバラエティ豊かで、ほとんどが実話を基にしているとか。保科正之ファンには決定版のような一冊でした。2021/06/23
まる
5
長い自粛生活の割には本が読めず、やっとという感じで読み終わった。前の伝記で書かれていた事が大半だったが、改めて稀有の政治家に驚く。彼が今の世に日本のリーダーだったら、どのように日本を導いて行くかと思わずにいられない。家族運には悲しい程に見離されている。なかでも継室おまんの方の出来事には耳を塞ぎたくなる思いがする。彼のように優れた素質を持つ人の側に居てこのありさまには言うべき言葉がない。それにしても、肥後守本人でもなく、藩の正史からも遠い馬之助綺譚のような物を丁寧に拾いだす作者の作家としての力に敬服する。2020/05/12
せなそ
4
やっと読み終わりました!結構分厚くて時間かかったけど面白かった⊂( ˆoˆ )⊃ 保科正之公に関する短編集みたいな感じで、ミステリーチックなものやほっこりする話もあったりいろんな角度から保科正之公や会津の土地や人々の事が知れてよかった!また、ちゃんとそれぞれの短編が時代順に並んでいたのが地味によかった( ˆoˆ )/2013/08/05
カレリン
3
別の本で保科正之を知ってから、江戸時代を代表する名宰相だと思っているのだが、まさにその通りである。家光の異母弟であることから幕府に忠誠を誓うという家訓が、幕末の会津の悲劇につながるとは歴史はつながっているんだということを実感させられる。2012/06/09
むじな
2
勝手に、スピンオフ。万儒を尽くし、天明を待つ。泰然自若の心。2019/01/01