出版社内容情報
「“特別” になりたい。貴女の。」
ベストセラー『記憶屋』『花束は毒』著者が直球で挑む新境地! 百合界隈で話題をさらったアンソロジー『彼女。』『貴女。』収録作2編に書き下ろし新作を加え、待望の書籍化。傑作青春×百合小説集!
カバーイラスト/ふぃふ
ブックデザイン/円と球
やめてよ。恋なんかしないでよ。塩野の気持ちに気づいたときから、私はずっとそう思っていた。言えるわけがないけれど。
誰かのために卵焼きを作りたいなんて、そんなこと考えないでほしい。
料理なんてできなくたっていい。私がなんでも作ってあげるから。
誰かのために可愛くなんて、ならなくていい。塩野はそのままでいい。デートだって私とすればいい。どこにでも行くのに。
置いて行かないで。
(本文より)
内容説明
“特別”になりたい。貴女の。ベストセラー『記憶屋』『花束は毒』著者が直球で挑む新境地!傑作青春×百合小説集!百合界隈で話題をさらったアンソロジー『彼女。』『貴女。』収録作2編に書き下ろし新作を加え、待望の書籍化!
著者等紹介
織守きょうや[オリガミキョウヤ]
1980年ロンドン生まれ。2013年『霊感検定』でデビュー。15年「記憶屋」で第22回日本ホラー小説大賞読者賞を受賞。同作に始まる〈記憶屋〉シリーズは累計60万部を突破している。2021年『花束は毒』が第5回未来屋小説大賞に選ばれる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
146
織守 きょうやは、新作中心に読んでいる作家です。本書は、甘酸っぱい百合未満連作短編集、こういう作品を読むと、著者はやはり女性作家だと、改めて認識します。オススメは、「椿と悠」&「いいよ。」です。 https://www.j-n.co.jp/books/978-4-408-53880-8/ 2025/06/11
パトラッシュ
117
以前に織守さんのBL作品を読んで、両想いなのに告白しない(できない)臆病さが延々描かれて参った。本書の百合小説4編でも同じで、恋愛物に不可欠なはずの性の匂い、色欲の業がまるで匂い立ってこない。学校やビジネスで苦境に立った時、見事に救った彼女への想いを自覚して大人への入り口を見つけるに至る。結局この作者は同性愛自体にはさほど関心はなく、友達以上恋人未満の甘酸っぱい感情に揺れる若者の心のありようこそが興味の的なのだ。同性への強烈なシスターフッドに満ちた吉屋信子の少女小説的なものを求めたら失望するのではないか。2025/06/24
雪紫
45
友情から恋へ。進展前の気持ちを描く百合短編集。安定と王道、そして美味しい料理を丁寧に描く。湯川さんと松風さんはかっこいい。ベストはその湯川さんが出る「変温動物な彼女」。その気持ちが恋へと変わっても、今までと変わらず「明日もいっしょに帰りたい」。2025/06/23
sayuri
40
「椿と悠」「友達未満」「変温動物な彼女」「いいよ。」女性同士のピュアな関係を描いた4話収録の短編集。いわゆる百合小説と呼ばれるジャンルだが、友達以上恋人未満の彼女達の言動が初々しくてとてもキュート。どの登場人物も一途に相手を想い、嫌われないように手探りで少しずつ距離を縮めていく姿が愛おしい。近年ようやく世の中にLGBTQが認知されるようになって来たけれど、まだ偏見の目で見られる事は多いと思う。でも彼女達の純粋さは何よりも尊い。好きな人に好きと言える世界が当たり前になるといい。彼女達の恋は今始まったばかり。2025/06/29
ゆのん
40
4作から成る短編集。テーマは『百合』となっている。本作を読んでいると、どの物語も強い性的描写はなく初心者には安心して読めるのが嬉しい。普段、百合を扱った本を読む機会が無かったので乏しい知識しか持ち合わせていない。『百合』の意味を調べたところ女性同士の恋愛とあり、私の認識が間違っていないかを確認する程に爽やかでピュアで可愛らしい恋愛が描かれていた。人を好きになるのに年齢や性別は関係ない、人を好きになるのは素晴らしい事で美しいと素直に思える4作品だった。2025/03/06