出版社内容情報
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二度と戻らないつもりでいた桜の町に彼を引き戻したのは、一本の電話だった。
「高砂澄香が自殺しました」
澄香――それは彼の青春を彩る少女の名で、彼の心を欺いた少女の名で、彼の故郷を桜の町に変えてしまった少女の名だ。
澄香の死を確かめるべく桜の町に舞い戻った彼は、かつての澄香と瓜二つの分身と出会う。
あの頃と同じことが繰り返されようとしている、と彼は思う。
ただしあの頃と異なるのは、彼が欺く側で、彼女が欺かれる側だということだ。
人の「本当」が見えなくなった現代の、痛く、悲しい罪を描く、圧巻の青春ミステリー!
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青乃108号
192
いまだかつて、これ程までに救いのない話があっただろうか。少なくとも俺は他に例を知らない。警告しておく、この本は心の弱った人は読んではいけない。一種甘美な、狂気の淵に読む者を誘い込む。もしも今あなたが死を考えているのなら、読めば良い、確実に背中を押してくれるから。幸い俺はまだ今は死ぬ訳にはいかない。だから断ち切る、この本の誘惑を。あと、一言だけ言おう、尾上君。君は煙草を吸いすぎだよ。2025/06/26
hiace9000
121
もしも自殺予防のために、マッチングアプリのサクラ的存在が自分の周りに遣わされていたとしたら―、人は人を信じ心を開くことはできるだろうか…。三秋さん初読み。サクラの存在と言えば、かの名作映画『トゥルーマン・ショー』を思い出すが、今作の美しくも繊細で痛みを伴う切なさに胸拉ぐ展開には完全にしてやられる。SF的ギミックも登場するが本筋はそこではなく、まぎれもない青春・ヒューマンミステリ―であり、"人として生きていることの意味"を問う作品。あり得たかもしれないもう一つの世界線を思うと…いやはや切なくて…嘆息なのだ。2025/03/17
えみ
55
手放してはいけない瞬間って本当にある。いつ、どこで、誰と、何をしているとき…全てモノクロの記憶になってしまっても、目が覚めるような色彩に染め上げられたほんの刹那、記憶の一間を見つける。それが自分にとってかけがえのないモノ。嬉しかったことや楽しかったというプラスの感情だけではない。忘れたい嫌な感情かもしれない。それでも自分にとってその記憶は大切で重要なターニングポイントであるのだ。「さくら」。人を疑い、疑われて疑心暗鬼、人間不信になった「偽物」の想いは吉凶を誘う。罪と後悔の連鎖が虚しい。さくらを枯らす一冊。2024/11/10
ぼっちゃん
54
書店員さんの今年一番の作品とのPOPが気になり読んだ。健康管理のためみんな腕輪をしており、その情報から自殺しそうな人には自殺を阻止するため善き友人を演じるサクラがつけられる。そんな世界で周りの人がみんなサクラではと疑い本当の人間関係、恋愛関係を築けなくなった人達の少し悲しい青春・恋愛物語だった。2024/10/14
もぐもぐ
52
タイトルと装画から勝手に青春ドラマを想像してたけど、終始死の気配が漂う話でメンタル弱ってる時はちょっとしんどいかも。「手錠」と呼ばれるデバイスで自殺ハイリスク者を検知し、阻止する目的でプロンプターが密かに配置される社会。友人が本当の友人か?って疑心暗鬼に陥るのは辛いな。澄香の自殺の真相に至る構成は興味持てた(内容はよくない)けど、とにかく重かった。誰にも救いがなくて辛い。主人公はこの先どう生きてくのだろうか。2025/04/17