出版社内容情報
江戸川乱歩賞作家が描く、近未来ディストピア・ミステリー 二〇三八年、急激な温暖化で海面が上昇し、沿岸都市が水没。
自然環境保護が最大の正義とされ、自然を守るためなら武力行使さえいとわなくなった世界で、ある日コンテナ船がジャックされた。
要求に従わなければ爆弾が炸裂し、流出した燃料が深刻な環境汚染を招くおそれがある。
それを防ぐため投入された特殊部隊により、迅速に事件は解決したかに思われた。
しかし、その陰には人類の脅威となる巨大な陰謀が隠されていた!
内容説明
二〇三八年、急激な温暖化で海面が上昇し、沿岸都市が水没。自然環境保護が最大の正義とされ、自然を守るためなら武力行使さえいとわなくなった世界で、ある日コンテナ船がジャックされた。要求に従わなければ爆弾が炸裂し、流出した燃料が深刻な環境汚染を招くおそれがある。それを防ぐため投入された特殊部隊により、迅速に事件は解決したかに思われた。しかし、その陰には人類の脅威となる巨大な陰謀が隠されていた!
著者等紹介
斉藤詠一[サイトウエイイチ]
1973年東京都生まれ。千葉大学理学部物理学科卒業。2018年『到達不能極』で第64回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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absinthe
133
環境悪化が進んで、環境保護のためには武力行使も辞さないという厳しい社会となった近未来。興味深い設定だしエピソードのいくつかは面白かったが、小説としては難だらけ。武器の性能や余計な描写はやたら詳しい一方、人物の性格をいろいろ設定はしたものの生かされてない。偶然が悪目立ちして人物が動かされてる感が強い。人が撃たれるたびにこれは正義なのか?と自問する中二病主人公たち。そのテーマを掘り下げたかったら他のアイデアも盛り込むべきだった。2023/07/08
to boy
20
2038年、温暖化により海面が8m上昇し世界の海岸沿いの都市が海面下に。難民が世界中にあふれ争いから最後は核戦争に。物語はそのあとの世界。環境を守るためなら人命を犠牲にしても良いとする環境省に設置された戦闘部隊。永久凍土から出てくるウイルスと特効薬(?)となる地衣類をめぐる争いなどちょっと極端すぎる内容でついていけなかった。2025/01/21
宇宙猫
19
★★★ 温暖化が切っ掛けで生活環境が悪化したため、世界的に環境保護は人命に優先するとなった世界。人命第一だった日本で変化した正義に疑問を持ち、人類のためと言って犯人を射殺するこのは正しいのかという葛藤がテーマ。設定やミリタリーの説明が多く内容が薄いのが残念なタイプ。2024/01/15
せっちゃんさん
18
本屋の"環境問題"コーナーに置いてあったので気になり読む。話は、地球温暖化→海面上昇→エネルギー不足→核戦争直後の世界。環境保護が最優先であり、環境破壊する者へは武力で制圧する…そんな武装環境省のテロとの戦い。正直、このテロとの戦い話はサラっと読む。素晴らしいのは、絶妙にリアルな世界観設定。これは本当に起こる未来なのでは?と思われる説得力がある。米大統領交代に際し、この世界に不安を覚える1冊。2025/01/31
kosmos
14
舞台が2038年っていうのが怖い!10数年後にこんな世界になっていたらと思うとゾッとする。地球温暖化が進み、沿岸部は海に沈んだ世界。人命よりも環境保護が優先され、環境を破壊する行為には武力行使も辞さない。作中で繰り返し「正義」という言葉が出てくるのが印象的だった。こういうディストピアものを読むとエネルギーの無駄遣いはやめなきゃと思う。2024/02/09