出版社内容情報
バスに乗り、小さな旅を重ねる。そこには出会いと別れ、謎や事件がある。解決するのは家で待つ麗しき元刑事の妻。最大の謎に挑む
内容説明
路線バスで小さな旅に出る。各地を巡りながら、人と出会い、日常の謎を追う。津軽で少年たちが見た男、亡き夫が呟いた女の名前、博多のストーカー…。謎を解き明かすのは、元刑事・炭野の妻・まふる夫人。最後に彼女が挑んだのが、インターネットの情報を盗み出すフィッシング詐欺常習犯の行方。バスを駆使して逃亡する犯人は、いったいどこへ。彼女は解き明かせるのか!?
著者等紹介
西村健[ニシムラケン]
1965年、福岡県生まれ。東京大学工学部卒業。労働省(現厚生労働省)勤務後、フリーライターに転身。96年、『ビンゴ BINGO』で小説家デビュー。『劫火』『残火』で2005年と10年に日本冒険小説協会大賞(第24回、29回)、『地の底のヤマ』で11年に第33回吉川英治文学新人賞と第30回日本冒険小説協会大賞を受賞。14年、筑豊ヤクザ抗争を描いた『ヤマの疾風』で第16回大藪春彦賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のぶ
80
シリーズの第三弾。さまざまな登場人物がバスの旅を縦横無尽に楽しむ中で、日常や旅中で遭遇した謎を炭野、そしてどんな謎もふわりと解決してくれる彼の妻、炭野まふるに相談し、謎が安楽椅子探偵的に解き明かされていく群像劇。今回の舞台は東京だけでなく、全国区のバス旅へと広がった。物語は、新宿通りを走り抜ける都営バス「品97」系統の行き先、品川周辺にある落語「芝浜」の舞台から始まり、北は津軽、そして南は博多まで出かけている。物語の随所に出てくる料理と酒の組み合わせがまたいい。自分が東京の地理に疎いのが難点だった。2023/02/10
えみ
71
平和だ。バス散歩時々ほのぼのミステリ。バスの魅力に憑かれた人々が仲間と共にバス散歩に出る。そこで心も身体も癒されながら、小さな日常の疑問や謎をバス散歩仲間の元刑事・炭野の妻へ解決依頼。なんと彼女・まふるは名探偵。謎があれば彼女に相談。仲間内ではそれがお約束であるようだ。そして裏切らないまふるの推理。そして彼女の推理力は小さな謎の間に挟まれたフィッシング事件の解決にも一役買うことに…。際立っている異質な事件。「バス・フィッシャー」と名付けられた犯人とフィッシング事件の真相をほのぼの路線バス散歩が導きだす!2023/02/23
オーウェン
64
バスを使ったトラベルミステリ第3弾。 いつの間にやらバスの旅が常連客が多くなっている。 元刑事がやたら多いので、ちょっとした疑問がミステリとして謎になる。 それを炭野の奥さんが解いていく形。 違和感が出るのは元刑事の枝波土が加わってから。 定年前の過去に逃したバス・フィッシャーの異名を持つ犯人のその後を推理する。 物悲しいラストになるが、シリーズとしても大団円のような終わり方なので、これで完結かな。2023/05/15
rosetta
35
★★★✮✩乗り鉄ならぬ、乗りバスの面々。シリーズ三作目。二作目は読んでないけどスピンオフなのか?一話ごとに主役の違う八ツの短編集。シルバーパスを使って路線バスを乗り継ぐことに喜びを見出す老人たち。スピンオフだから高校生が青森に行ったり、福岡が舞台だったり。元警視庁刑事の妻がアームチェアデテクティブとして持ち込まれる謎をバサバサ解く。相変わらず気の触れたような突拍子もない読点の使い方は健在で気になって仕方ない。一例p14「お前もすっかり探偵、気取りじゃないか」ご自分で声に出して読んでみることをオススメする。2023/03/16
FOTD
23
路線バスで犯人に近づくっていう点で、過去にも似たような話を読んだような気がする。都内の地名や位置関係は慣れているのでわかるが、バスの路線まではわからない。例えば「渋66」系統って書かれてもわからないので、路線図のページもあると良かったと思う。第2章の青森編はほぼ毎年行くところなのでだいたい想像できるが、第7章の博多編が全くわからず途中までしか読めなかった。だが、第8章読んだら全て理解できたのでオーケー。第1章に出てくる芝浦公園のそばに住んでいたこともある。あのあたりは、今は全く変わってしまって残念。2023/08/07