出版社内容情報
1冊の本と、10年前の謎――この世界が愛おしくなる、瑞々しい青春小説!
10年前に貸し出されたままだったケストナーの『飛ぶ教室』は、なぜいま野亜高校の図書室に戻ってきたのか。体育祭を控え校内が沸き立つなか、1冊の本に秘められたドラマが動き出す。未来はまだ見えなくても歩みを進める高校生たちと、それぞれの人生を歩んできた卒業生たち――海の見わたせる「はこぶね」のような図書室がつなぐ〈本と人〉の物語。
~~県立野亜高校図書室名物~~
① オリジナル検索機「本ソムリエ」
② 司書の伊吹さん
③ 海が見わたせる窓
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装画:カシワイ
内容説明
10年前に貸し出されたままだったケストナーの『飛ぶ教室』は、なぜいま図書室に戻ってきたのか。体育祭を控え校内が沸き立つなか、1冊の本に秘められたドラマが動き出す―この世界が愛おしくなる瑞々しい青春小説!
著者等紹介
名取佐和子[ナトリサワコ]
兵庫県生まれ。明治大学卒業。ゲーム会社に勤務した後、独立。2010年『交番の夜』で作家デビュー。著書に第5回エキナカ書店大賞を受賞した『ペンギン鉄道 なくしもの係』ほか多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
461
”本のソムリエ”という蔵書検索に、心がギュッと持っていかれた。高校の図書室が舞台。3つの質問に答えると、蔵書3万冊の中から、「あなたにピッタリ」の本を選んでくれるという。本当にこんな検索機能があったら良いな。物語は、10年前の生徒の事故死をめぐったミステリー仕立てで、あっという間に図書室の1週間に引き込まれていった。巻末の学校図書委員の「今月のおすすめ本」の趣向も大いに興味をひかれた。2024/06/03
さてさて
327
一週間限定で『代理図書当番』を引き受けた花音が偶然見つけた一冊の本に隠された謎に立ち向かう姿が描かれるこの作品。そこには『野亜高の創立当初から四十年以上つづく伝統種目であり、体育祭の名物』『土ダン』へ向けて盛り上がる学校の中でそれぞれの立場に青春を生きる生徒達の姿が描かれていました。図書室が舞台となる物語に親近感を感じるこの作品。そこで繰り広げられる謎解きに青春を感じるこの作品。学校の名前が『野亜(のあ)高』、本の書名が「図書室のはこぶね」という意味深な設定の先にあたたかい結末を見る素晴らしい作品でした。2024/06/10
fwhd8325
221
まさに青春。シリアスな場面はあるものの、眩しく清々しい世界です。舞台が図書館、そして数々の作品が紹介される。残念ながら紹介されている作品で読んでいるとすれば「あすなろ物語」だろうか。学校の図書室は独特の空気感があることを久しぶりに思い出しました。2022/11/03
美紀ちゃん
200
10年前に貸し出された本が戻ってきたという謎! 「飛ぶ教室」は、クリスマスのコーナーを作る時に毎年探す本。 挟まっていたメモ。謎解き。わくわくする。 ケガは本当にかわいそう。エースなのに。 1週間のピンチヒッター図書委員。 青春を感じる、濃い1週間。 窓から海が見えるのはいいなぁと思った。 体育祭、燃え尽き症候群(笑)わかる。 ラストの本紹介は親切。2022/06/05
たか
177
軍の基地に隣接する県立野亜高校、艦船が浮かぶ軍港を見晴らす北校舎4階の図書室で10年前の未返却本「飛ぶ教室」が戻るがそこに謎のメッセージが挟まれていた。体育祭を1週間後に控え名物の伝統種目「土ダン」の準備に忙しい校内、怪我で楽しみにしていた高校最後の体育祭に出られない元女バレで図書当番代打の百瀬花音と図書委員の俵朔太郎が10年前の謎に触れ「方舟」が動き出す。 魅力的な登場人物、見事な伏線と回収、謎に包まれた過去と現在がリンクする。 たった1週間の謎解きと青春を描く切なくも爽やかな物語。 ★★★✩✩ 3.02022/07/06