出版社内容情報
江戸時代、日本からタイへ渡った駕籠かきがいた。山田長政。異国で総督にまで上りつめた、謎に包まれた男の生涯を描く歴史長編!
内容説明
鎖国前の江戸時代初期―。山田仁左衛門(長政)は駿河の大名・大久保忠佐を守るために抜刀、罪に問われてお役御免に。江戸を離れ、故郷を追われ、長崎から船でシャムへ渡った。象が闊歩し、大河が流れ、強烈な日差しが降り注ぐ地で、国王の傭兵として無我夢中で生きる。アユタヤ決戦、王家の姫との結婚、日泰国交樹立、奴隷解放、スペイン艦隊との激闘、ソンタム王の死…。商人としてだけでなく、武将としても総督に昇りつめた男、山田長政の生涯を描く本格歴史長編!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ayako
35
江戸時代初期、駿河の大名・大久保忠佐に仕える山田仁左衛門(長政)は、ある騒動により故郷を追われるようにシャムに渡った。商人・傭兵として身を立てた彼は、やがて高い官位を得るまでになる。異なる環境に身を置き、自分を客観的に見つめる事で、価値観が明らかになる事はよくある。アユタヤの日本人町跡地には、彼を祭神とする山田長政神社が建立されたという。信義のために生きる事を選んだ彼の生き様は、今日まで脈々と受け継がれているのだろう。この時代の日本の貿易の在り方を外からの立場で見る事も出来て、非常に興味深い一冊だった。2021/07/01
まゆこ
6
★★★★☆2021/08/15
パーやん
5
600頁、長かった😅。シャムの日本人町とか山田長政の存在は知っていたが、一介の牢人からシャム王朝の貴族第一位オークヤーまで上り詰めた大した人物だった様子。誠実で裏表のない好人物だが、単純なだけに王位継承問題に巻き込まれてしまい、日本人町を失うことになる。隣国ビルマ、カンボジア、マレーシアとタイの関係や、徳川幕府が秀忠から家光の時代にどんな対外政策をとっていたのか分かり、参考になりましたね。2021/09/12
mob
4
【取るに足りない六尺も、海を越えれば侍大将になる】異文化以上異世界未満の雰囲気を持つ時代小説。経歴は騙り放題。強い侍がいないわけでもないが、侍自体が強めなので何とでも。信念は通じたり、すれ違ったり。頁数は多いが、忠義への解釈を軸に畳まれる物語に満足感あり。時代小説の門外漢もウェルカムなエンタメ感強い展開も良し。2021/08/22
みっちゃんのパパ
2
山田長政については、日本史の教科書でシャム国で活躍した日本人がいたこと、最大の日本人町がシャムにあったことくらいしか知りませんでした。 フィクションの部分はあるとしても、本作で長政の出自やどうしてシャムに渡ったのか、シャムでどう暮らしていたのか、またどのくらい彼の地に根付いていたのか、最後はどうなったかと知る事が出来ました。 また日本と遠く離れた国での出来事ですが、日本との関係にも多くの影響を及ぼし合っていたことも。 当時の東南アジア情勢、日本、そして欧州との関係も良く描かれており大作と思います。2021/12/05