出版社内容情報
不思議な力を持つ木と番人の青年が織り成す物語。『秘密』『時生』『ナミヤ雑貨店の奇蹟』に続く新たな感動作。長編書き下ろし。
内容説明
その木に祈れば、願いが叶うと言われるのはなぜか。
著者等紹介
東野圭吾[ヒガシノケイゴ]
1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学工学部卒業。85年『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。99年『秘密』で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者Xの献身』で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、12年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』で第7回中央公論文芸賞、13年『夢幻花』で第26回柴田錬三郎賞、14年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
1288
いつもながら上手いものだなあと感心する。一見したところ荒唐無稽なクスノキの伝承が、物語が進むにしたがって次第に空想が現実に近づいてゆき、最後はとうとうリアルな現実に到達するのだから。しかも、それはなかなかに感動的であったりもする。物語の構造もまたそうだ。最初は2本の線路が用意されている。一つは読者を巻き込んでの、クスノキの謎の解明。そして、もう一つは主人公である玲斗の成長物語である。この2つの線路がやがて一つに収束していって、最後はめでたく完結する。2つのエピソードの扱いもまた巧みに物語の展開に⇒2023/06/26
starbro
1229
新型コロナウィルス対策購入シリーズ第七弾、東野 圭吾は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。著者作家生活35周年記念作品は、クスノキ・スピリチュアル・ファンタジー・ミステリの青春・成長譚の感動作でした。 https://www.j-n.co.jp/kusunokinobannin/2020/04/18
パトラッシュ
1173
ほとんどイヤミスに近かった初期作品とは別人のような変わりようのファンタジー。人の想いを伝える神秘的な力を持つ樹木というテーマは、少年アーティストのモザイクが中心となる飯田譲治・梓河人『アナン、』を連想した。誰もが癒される奇蹟が起きるクスノキの謎は一切解明されないが、リアルを拒む世界を読者は堪能し自分も癒される幸福な数時間を味われるのだ。復元された喜久夫の曲が周囲に与える影響をテーマにしても作品がひとつ書けそうだ。それにしても最近の東野作品には、不倫や托卵の子がしばしばメーンキャラとして登場するのはなぜか。2020/07/01
うっちー
1070
またまた、新たな『東野ワールド』ができました!2020/03/20
bunmei
1063
『ナミヤ雑貨店』の路線を継ぐ、心温まるファンタジー。怜斗が任されたクスノキの番人の役割や祈念の意味を明かさず、謎に包まれたまま物語を進行させ、読者の興味を引き付けるあたりは、さすが東野作品。クスノキの祈念に纏わる様々な人々との人間関係や心情描写も大変わかりやすく描かれており、後半は一気に物語に引き込まれます。職場を解雇され、罪を犯した怜斗。留置場行きとなる所に現れた千舟によってクスノキの番人を務めることに…。クスノキに宿る神秘の力とその番人として、そして、祈念する人々の切ない思いが絡み合う奇跡の物語です。2020/04/20