出版社内容情報
「30歳で死ぬ」呪いを解くべく、自称・心霊科医の久那難恵介は相棒の墓麿と幽霊=「ワクチン」を集める――傑作ホラー小説!
内容説明
久那納家に生まれた長子は、みな三十歳までに死ぬ。二十八歳の久那納恵介は、自称「心霊科医」として相棒の墓麿とクリニックを営んでいる。残留思念体=幽霊を「ワクチン」として集めることが代々続く呪いを解く唯一の方法だという。多種多様な「患者」を助け、解呪を目指す二人だが…。
著者等紹介
岩城裕明[イワキヒロアキ]
1984年生まれ、京都府出身。第6回講談社BOX新人賞優秀賞を受賞し、2009年『ようこそ、ロバの目の世界へ。』でデビュー。14年『牛家』が第21回日本ホラー小説大賞佳作に入選(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
219
タイトルと表紙に魅かれ、ジャケ借りしました。岩城 裕明、初読です。予想ほど怖くなく、不思議な雰囲気の連作短編集でした。呪いは、人間の怨念が産み出しているもので、何ら不思議はありません。私のアイコンもジラフの呪いで、こういう形状となっています(笑)2018/10/25
☆よいこ
108
久那納(くななん)家の長子は30歳までに必ず死ぬ。その呪いを解くために、久那納寿子(くななんとしこ)は呪いを可視化して解呪の方法を見つけた。しかし寿子は時間切れで死亡、その息子も時間切れ、引き継いだ孫の恵介は自称心霊科医をしている。残留思念体(幽霊)を呪いに与えることで、その呪いを解こうとしている。▽印象的な表紙に、まさかこれがあれだとは思ってなかった。幽霊退治の設定が面白く斬新だった。幽霊が服を着ているわけ、幽霊の誘拐事件、ゾンビと暮らす女、犬の幽霊など、どれも印象的なエピソード満載。2018/11/19
hit4papa
105
三十歳になると自分を殺す悪霊と共に、心霊現象を癒す心霊科医師の活躍を描いた作品です。主人公は霊現象を感知することができず、悪霊のアドバイスに基づき不可思議な現象の真相を明らかにするのです。連作短編の体で幽霊の死体、幽霊の誘拐など、ミステリアスな展開をみせてくれます。何と言っても発想が面白いですね。心霊探偵ものでは唯一無二の設定でしょう。オチの理屈も通っておりそれぞれの事件を愉しむことができます。悪霊のハテナが判明し、主人公に究極の選択を迫るラストはせつなさ満開。一気読みのまさに怪作です。2021/02/11
あも
95
代々、長子が30歳で死ぬ呪いの家系・久那納家。当代の恵介(30間近)は呪いを解くため、幽霊の墓麿を助手に心霊科医を…というややラノベチックな設定だが、一つ一つの依頼にバリエーションがあり飽きさせない。また、霊魂とは何か?霊が服を着ているのは何故?といった理屈がきちんとあるのが心地良い。"怖い"でなく"切ない"怪奇譚を求める向きにピッタリ。ペーソス漂う儚いラストはまさに霊のエレジー。気持ち悪い、と思っていた不気味な表紙を眺め、今度は微笑む。読み易さ抜群だが、やや薄味なのでもっと濃密に描いてくれていたら完璧。2018/11/06
えりこんぐ
81
斬新な設定! 三十歳までしか生きられないという呪いをかけられた久那納家の長子。その三十歳を間近に控えた恵介は、心霊現象に悩む人々の相談に乗る自称心霊科医。そしてその相棒が、彼に呪いをかけている"墓麿"! 本来なら敵対しても良さそうなものだけど、2人の仲は良好で微笑ましい。ホラーテイストの表紙の意味は後半でわかった。墓麿ちゃん、切ない( ´Д`) 面白かった♪2018/12/13