内容説明
面倒だけれど愛おしい「ふるさと」。新幹線で北へ向かう5人。その先に待つものは―凛とした光を放つ感動傑作。
著者等紹介
彩瀬まる[アヤセマル]
1986年千葉県生まれ。上智大学文学部卒業。2010年「花に眩む」で第9回「女による女のためのR‐18文学賞」読者賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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❁かな❁
242
お気に入りの彩瀬まるさんの作品を読むのは4作目。桜の季節にぴったりな温かい作品♪表紙も素敵♡東北新幹線で北上する5人の物語。それぞれのお話のタイトルも綺麗です*モッコウバラ、からたち、菜の花、ハクモクレン、桜。彩瀬さんらしく、とても柔らかい言葉で日常のこといろんな想いを優しく丁寧に描かれています。お気に入りは『モッコウバラのワンピース』『からたち香る』『桜の下で待っている』です。『モッコウバラ〜』のおばあちゃんが綺麗なワンピースを好きな人に見せたくなる気持ち素敵だなぁ♡前向きになれる優しい素敵な作品*2015/04/13
ちはや@灯れ松明の火
237
一足先に旅立った桜前線を追いかけて、北へ北へ、列車はあなたを故郷へと運んでいく。ひさしぶりと、花の香をまとった家が出迎える、親しい人たちが住まう土地。祖母が移り住んだ家を縁どるモッコウバラ、婚約者の実家を包むからたちの垣、やがて結ばれ築かれる縁を寿いで。母亡き後の生家を陽の色に染める菜の花、母と祖先たちを見守ってきたハクモクレン、受け継がれてきた命を慈しんで。おかえりなさい、旅を終えたあなたがここへ帰ってくるのを待っている。ようこそ、あのひとがここを訪れるのを待っている。春は薄紅の、夏には新緑の装いで。 2015/10/30
なゆ
230
東北新幹線で向かうふるさと、そして桜の花で繋がる短編集。どれも心がじんわり温かくなるような感じで、とても好き。『からたち…』の初めて婚約者の実家を訪れた帰りの〝好きな人の起源がいとしく、同じくらいにうとましくもあるような、妙な気分だ〟という思いにいろいろ思い出したり、『ハクモクレン…』のちょっと不思議な話も、実家という場所でならありえそう。車内販売員の目線から、故郷ってそれぞれいろんな思いを抱えて帰る場所なんだな、ということを実感させてくれる最終話がとてもいい。この姉弟が、いつか派手に喧嘩できるといいな。2015/09/02
紫綺
210
桜、東北、新幹線、車内販売・・・共通するキーワードで繋がる五つの短編集。凍てつく冬に、ほんのり温かい一閃の風を感じる様な作品。美しい文章と心癒される内容に、故郷を・・・家族を想う。2015/08/12
がじゅまる
208
表題作が含まれているものは、彩瀬まるの短編集の中でおそらくこれだけ。その「桜の下で待っている」が、とてもよい。改めて、彩瀬まるはお話を閉じるのが上手いなあと認識させられる。 浴びていたいと思える小説は少ない。 この本に包まれている瞬間は、恋人の胸の中のように寂しくてあたたかかった。2017/07/19