内容説明
三十代半ばの文香は、著名コピーライターとして知られた存在だったが、恋愛だけは不器用。上司との不倫旅行に嫌気がさし、松山へやってきた文香は、ホテルでマッサージを頼んだ。マッサージの老婆は文香の体に触れながら、戦時中の話を始める。裕福な貴族院議員の家に生まれた彼女は、目が不自由だったため、いつも女中のヨネに支えられていた。彼女が恋をした家庭教師が出征することになり、ヨネが彼女と家庭教師を結びつけようと…(表題作より)。二十代から五十代後半まで、それぞれの世代の女性が遭遇した試練や人々のあたたかさ。娘として母として、女性が誰でもむかえる旅立ちのとき。人生の旅程を指し示す七つの物語。
著者等紹介
原田マハ[ハラダマハ]
1962年、東京都生まれ。85年、関西学院大学卒業、96年、学士入学した早稲田大学卒業。伊藤忠商事にてアートコンサルティングを手がけ、森美術館開設準備室、ニューヨーク近代美術館勤務を経て、02年、キュレーターとして独立。06年、第一回日本ラブストーリー大賞受賞作『カフーを待ちわびて』で作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
232
20代~50代までの女性がそれぞれ主人公の7編からなるステキな短編集です。とにかく物語のひとつひとつが、とても温かく感じます。ハグ&ナガラの絶妙アラフォーコンビが登場する『寄り道』はほっこりさせてくれるし、表題作『星が~』は明らかに短編の域を遥かに超えた殊宝の作品でした。『長良川』は他の方のレビューにもあるように「夫婦」としての在り方がこのうえなく素晴らしく描かれています。女性読者さんが読むと、よりいっそうココロに響き、深く、そしてじんわりとした温かい感動を得ることができるのは間違いないでしょうね。2014/07/26
れみ
220
表題作は、不倫相手である上司との関係に嫌気がさした主人公はひとり訪れた松山のホテルで頼んだマッサージ師の老女から彼女の昔語りを聞くことになる…というお話。この昔話は中島京子さんの「小さいおうち」をちょっと思い出す感じ。7つのお話にはそれぞれにままならない恋や親子関係があって心が痛んだり逆に温かい気持ちになったりする。好きだったのは「夜明けまで」「寄り道」「沈下橋」かな。これはこれでいい本だったけど、最近読んでるマハさんの本は短編集が多いからそろそろ長編でがっつり浸って泣きたい気もする(^w^)2015/10/30
hiace9000
170
東京、大分、愛媛、秋田、新潟、岐阜、高知。各地の豊かな風土、美しい風景、温かみのある人情味を織り込み舞台とした、母と娘の、あるいは一人の女性としての「人と人との間」を見事紡ぎ上げる叙情劇七短編。たとえすれ違えども、交わることがなくとも、母と娘の間にある祈りの糸のような絆。ことが起きて初めて見えることもあれば、気づいてはいても認めずに過ごしてきた日々もある。決して美談ばかりで読ませるのではない。だが秀逸なる表題で綴る物語の優しさと堪らない切なさに心の琴線は震え響き続けるのだ。原田・人情作、実にイケてしまう。2024/10/24
AICHAN
167
図書館本。表題作ほか「椿姫」「夜明けまで」「寄り道」「斉唱」「長良川」「沈下橋」の7つの短編集。母娘がテーマになっている。マハさんの作品の文章表現は何て美しいんだろうか。マハさんはカメラで撮影するように絵や風景や人を見るんだと、先日のNHKの番組で語っていた。みな臨場感溢れる描写で感心してしまう。いいなあ、原田マハ。「長良川」では涙がじわじわ溢れて困った。私は結婚に失敗した。失敗せずにいまだに連れ添っていれば…と、そんなことを想ったら涙が止まらなくなったのだ。2019/02/22
ダイ@2019.11.2~一時休止
165
短編集。表題作や沈下橋なんかが良かった。2014/08/14
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