内容説明
美貌の日本舞踊茜流家元・茜ますみの愛人たちが、次々に不審な死を遂げた。茜流の弟子で銀座の料亭のはりきり娘・八千代は、恋人で歌舞伎の音羽屋の御曹子・能条寛とともに事件の真相を追う。残された「黒い扇」の謎、茜ますみの過去、複雑に絡み合う人間関係の底流に蠢く情念と怨念…。昭和30年代の日本舞踊界、歌舞伎界、花柳界など、華麗な世界を舞台に展開するロマンミステリーの傑作が、文字の読みやすい新版で登場。
著者等紹介
平岩弓枝[ヒライワユミエ]
1932年、東京生まれ。日本女子大国文科卒。小説家を志し、戸川幸夫、長谷川伸に師事。59年、「鏨師」で第41回直木賞受賞。91年、『花影の花』で第25回吉川英治文学賞を受賞し、98年、第46回菊池寛賞を受賞。時代小説から現代小説まで幅広く手がけ、テレビドラマや芝居の脚本などでも活躍。2008年、『西遊記』で第49回毎日芸術賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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りえぞう
2
○。ちょっとなあ……面白いんだけど、二時間ドラマの味わい。やはり御宿かわせみあたりを読み返すべきだったかしら。2023/07/20
yuri_azucena
1
大人の男女の愛憎と若い男女の清涼感ある恋愛模様の対比や、伊豆、東京、京都、大阪…と目まぐるしく変わる舞台が楽しく一気読み。なにより携帯電話もない時代の連絡手段や割烹旅館での秘密の会合、当時の花柳界や芸能界の描写など、令和の今読むととても新鮮な風俗描写が面白かった。2020/09/25
真希子
0
染子と菊四の展開の速さには驚いたが、ハッピーエンドで良かった。 恋に狂うと男も女も怖ろしいものになる。思い詰めてしまった時、周りが見えなくなる。恋はやはり本能で感じるものなんだと思った。2017/02/11
はちがみっつ
0
謎解きの合間に恋の行方を追っていて、タイトルの扇はどこへ、と思いきや、重要な小道具。飛行機や鉄道の時間アリバイなど平岩さんに出てくるのが新鮮。 主人公たちの純情な恋に比べて、出てくる人たちの恋愛事情はドロドロで、ここもかわせみが。 グイグイ読ませるので退屈もせず面白かった。 長い間楽しませてくれた平岩先生、ありがとうございました。2023/09/11