内容説明
地獄の採掘現場、密林のジャングル、マラリアの死窟で、少年たちは―。西表島―東西三〇キロ、南北二〇キロの八重山諸島最大の島に、この物語の主人公の家族が渡ってきたのは太平洋戦争への傾斜が深まった昭和十四年の春のこと。近代国家をめざす帝国政府が第一の国策事業として推進した炭鉱開発の真っ只中であった。「ピンギムヌ」とは西表方言で「脱走者」を意味する。主人公の少年たちは死と絶望だけの闇が広がる無間の底へと落とされた…。
著者等紹介
石月正広[イシズキマサヒロ]
1950年東京都生まれ。歌手、画家、馬券師などを経て、86年から小説を書き始める。95年『写楽・二百年の振り子』で作家デビュー。「食む」で2000年度日本文芸家クラブ大賞短編賞受賞。独特の歴史観をもち、庶民の暮しぶりに根ざした視線の時代小説エンタテインメントに取り組み、注目を集めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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