内容説明
誰にもさらせない弱味を抱えて、隠しサイトで出逢ったふたり。現実から“はぐれていた”女同士が、見知らぬままに本音をぶつけあう。不感症、味覚障害、ストレスの果て、虚勢を張り続けることに倦み疲れ、共振しあった女たちがいきつく黒い罠。悪意に染まる歓び。インターネット社会の闇をえぐる驚愕の書き下ろしサスペンス長編。
著者等紹介
明野照葉[アケノテルハ]
東京都生まれ。東京女子大学文理学部社会学科卒業。98年「雨女」で第37回オール讀物推理小説新人賞を受賞。2000年『輪(RINKAI)廻』(文藝春秋)で第7回松本清張賞を受賞し単行本デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あつひめ
39
五感のバランスを欠くことは心のバランスをも危うくしてしまうのかもしれない。それもなかなか人に言い出すことができずらい場合は尚更。昭和の頃なら文通相手を希望するとそれすら危険だと言われる時代。今じゃネットで誰とでも繋がることができる。最初は痛みを分かち合う気分で居ても、相手を知れば知るほど信用しながら疑ってしまう自分がいるのは仕方ないことかもしれない。人の心がわかるなんてありえないもの…悲しいけど。いつの間にか大きな落とし穴に落ちていった二人。人の幸せと自分の苦しみが二人の心を壊してしまったのかもしれない。2011/05/30
らむちん
32
初読み作家さん。女性達のドロドロの思いが満載。共通な思いが存在する時はまるで恋人のように無二の存在と思っているのに、相手に嫉みを覚えた瞬間に憎しみさえ覚える。悪意がネットという匿名性で増幅する。ラストが怖かった・・・追いかけたい作家さんが増えた。2016/03/25
スケキヨ
18
明野氏初読み。図書館で予約して手に取ったのですが…予約を入れた覚えが無い…明野氏の名前も「きっとオムニバスの本で出会ったのかも」と思っていましたが最近読んだオムニバスに明野氏の名前が無い…という何とも怖くて不思議な出会いでした。。本の感想ですが、いや~、女はドロドロしてらっしゃる。帯で「悪意に染まる喜び」ってありますがまさに言い得て妙。「悪い事してる自分が気持ちいい」「人の不幸は蜜の味」を体感してる登場人物達。「こんな人間ヤダな~」と思える内が花なのかも…2011/03/30
バーベナ
3
ネット掲示板に疑問を持ち、支配する側に回ろうとするふたり。悪意を自分の中だけでとどめて置けなくなった時から、いままでのレールから外れてしまう。軽々と、ソコを超えてしまい、その先に待っていたものは、更に怖い。2017/04/10
ほろ酔いフニ子
3
図書館で借りたので、帯がなくタイトルだけで借りました。タイトル的には女性目線の恋愛小説かなぁとおもっていたら大間違い!ネットの裏サイトで出会った二人の女性が、お互いの心の内を慰め合い、裏切り、破綻する様子をドロドロと書いています。女の怖さが妙~によく分かります。嫉妬や嫌悪感、その行き着く果ては・・・2010/05/03
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