出版社内容情報
国鉄中央線の車掌として山を見つめ続けた著者による、当時の車窓の写真と展望図で沿線から見える山を解説した本、待望の文庫化。
内容説明
新宿‐松本間、左右の車窓に展開する130の山々。「国鉄」時代の昭和60年に刊行され、版を重ねること20回、長らく復刊が望まれてきた「車窓」の名著が待望の文庫化。新宿駅から富士山、西荻窪駅付近から雲取山…と次々に展開する車窓の展望、「初鹿野」「勝沼」を越え、塩尻駅から松本駅に向かって右に左に山々を見る。途中、何度も顔を出すのは日本一の富士の山。ヤマ線乗務、40年。中央線を知り尽くした車掌が電車から見た山、登った山。
目次
新宿‐笹子(富士山;雲取山;武甲山 ほか)
初鹿野‐韮崎(岩崎山;間ノ岳・農鳥岳;悪沢岳 ほか)
韮崎‐松本(甘利山・千頭星山;赤岳;観音岳・赤抜ノ頭 ほか)
著者等紹介
山村正光[ヤマムラマサミツ]
昭和2年、山梨県生まれ。旧制甲府中学の山岳部入部以来、南アルプス全域のほか、甲州、信州の山に足跡を残す。日本山岳会会員。昭和20年12月、汽車にタダで乗れるからというのが唯一の理由で国鉄に入り、以来40年間、甲府車掌区に在勤。主に中央線の車掌として新宿‐松本間をおよそ4000回乗務、昭和60年3月末に退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roatsu
24
山好きの身には中央本線の車窓から望める山がこれほど多く、また意外に遠くまでも見えるのだということを知って感動する。車窓をよぎる風景の様にテンポよく紹介される数多の山にまつわる逸話や回想も実に楽しく味わい豊か。山の名やその来歴を知れば何となく眺めるだけの車窓の山々も古い知己に会うように懐かしい気持ちで捉え直せて、旅の良きスパイスになるのでは。東京が望岳都である(今は忘岳都)という呼び方はとてもしっくり来る。鉄道の仕事で日常的に目にしている風景が持っている魅力を素敵な本を通じて共有してくれた著者に感謝。2018/01/06
タカボー
4
よくぞ文庫にしてくれたなぁ。これは凄い本だ。中央線沿線に住む者として、車窓から見える山を書いてくれることも面白いけど、一つ一つのエピソードがまた面白い。地理的、気象的、歴史的、政治的、社会的、山にまつわる色んな面白さの詰まった素晴らしい本でした。2018/01/22
RuiRui
1
深田久弥が茅ヶ岳で倒れたときに一緒にいた方のうちの一人みたい(P251)。中央線というひとつのルートで山々を巡るのは妄想旅にもいいですね。ああこんなところからも見えるのか、と。2021/10/12
natsumi
1
元JRの車掌さんによる新宿〜笹子間に車窓から見ることのできる山々の紹介。実際に窓からどう見えるかの展望図(藤本一美氏画)や写真付きで、地形的なこと、名前の由来、ハイカーとして実際に登ったエピソード等々凝縮されていて、とにかくすごい力作。勤続40年の集大成にリスペクト。2021/06/19
ore
1
大作。まさか読むのに2ヶ月かかるとは。 こういう本を読むと山座同定をしたくなる。2018/04/03