出版社内容情報
歴史の解釈には多くの謎がある。なかには荒唐無稽ともいえる「史料」もある。そこに感じる壮大なロマンで歴史を斜め読み!
内容説明
学術的に認められていない史料たち。図らずもそうなってしまうものもあれば、意図的に作り出されたものもある。そこに描かれた内容は、しかし、読む者を壮大なロマンへと誘う。「偽史」「奇書」といわれる書物を「もう一つの日本史」として、それらが書かれた時代と、それらがもたらした影響を交えながらブックガイドのスタイルで紹介する。また、異説や仮説を展開した人びとなど歴史をめぐるできごとにもスポットをあてる。
目次
第1章 超古代史(古史古伝)(竹内文書;富士宮下文書 ほか)
第2章 飛鳥時代から平安時代(日本國未来記;南淵書 ほか)
第3章 鎌倉時代から戦国時代(成吉思汗ハ源義経成;弁慶物語 ほか)
第4章 安土桃山時代から江戸時代(川角太閤記;史疑 徳川家康事蹟 ほか)
第5章 まだまだある!社会に影響を与えた奇書(慶安御触書;仙境異聞 ほか)
著者等紹介
原田実[ハラダミノル]
1961年広島市生まれ。龍谷大学卒。歴史研究家として偽書・偽史の問題を中心に考察。著書・共著・論考多数。と学会会員。ASIOS会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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厩戸皇子そっくりおじさん・寺
60
後世に偽作した史料で綴る日本史。監修者が『東日流外三郡誌』や『江戸しぐさ』の嘘を見事に暴いた原田実なので面白い。読んでみるとまことしやかに信じられているものもまだまだ多い。古代のみならず近代にも偽書は多い。偽書ではないが、書かれている内容に信憑性が乏しい『元禄世間咄風聞集』や、教科書から消えた『慶安御触書』、マルコ・ポーロ『東方見聞録』、東村アキコの漫画『雪花の虎』の元ネタである『上杉謙信は女だった』の歴史作家・八切止夫まで取り上げられている。それぞれの記述はツッコミ過ぎずあっさりしているが、良かった。2017/02/14
へくとぱすかる
51
偽書については、いろいろ読んだつもりだけど、こんなに知らない本があったのか、と新しい視線が開けた。ひとつの本につき、数ページしか述べられてないが、小事典・ダイジェスト版として重宝できそうだ。本当にどこまで偽書とされる本が信用できるのかと言う点については、見直しが行われていて、全部が荒唐無稽とも決めつけられないケースがある、ということも意外な最新情報だった。2017/02/02
maito/まいと
16
最近日本史の新発見や新説・従来説の変化が進んでいる。新しい史料の発見だけではなく、従来の指摘が市民権を得てきたということもあるらしい。奇抜な見方をするのではなく史料をストレートに読んだ解釈が、説得力があったということなのだろう。重要なのが史料の信用性なのだが、この史料自体がトンデモ文献であることも少なくない。本書で取り上げている史料は、偽史や創説モノとわかるものだけではなく、「慶安の御触書」のような教科書にも出て来る史料も、実は創りものであることを指摘している。史料にも目を向けるきっかけになる一冊。2017/02/18
まさむね
14
トンデモ本の世界の歴史版。竹内文書などの有名なものから、浦島太郎の元ネタ話まで、偽史文書をざっくり総括している。端的にまとめていて面白いが、1作品平均4ページで駆け足になってるので、物足りなさも感じる。盛った偽史文書を元に著名な作家が小説を書いたために、誤った通説が広まった例などが興味深い。最後のコラムで、トンデモ史家として有名な八切止夫もそれなりに評価していて面白かった。2017/01/29
珈琲好き
9
超古代史系のような妄想の産物ならともかく、良質な部分が混じってる中世史料は腑分けが大変だな。2017/02/15