出版社内容情報
井上久士[イノウエヒサシ]
著・文・その他
内容説明
九〇年前の一九三二年九月一六日に起きた、日本の侵略戦争における住民大量虐殺事件の出発点、平頂山事件。事件が隠蔽された延長上に南京や東南アジアでの日本軍の住民虐殺が。ロシアがウクライナに軍事進攻している今、平頂山事件の第一人者が解き明かし、警鐘を鳴らす。
目次
序章 平頂山事件の闇
第1章 撫順炭鉱襲撃事件
第2章 平頂山住民虐殺事件
第3章 川上隊長不在説と井上神話
第4章 エドワード・ハンターの平頂山事件報道とその影響
第5章 平頂山事件隠蔽の構造
第6章 瀋陽裁判と平頂山事件
第7章 平頂山事件と「歴史戦」
終章 戦後補償裁判と現在
著者等紹介
井上久士[イノウエヒサシ]
1950年東京生まれ。専門は中国近現代史・日中関係史。一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。現在、駿河台大学名誉教授、日本中国友好協会会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Fumitaka
4
1932年の平頂山事件の経緯とその後の取り扱いについて記述。本文でも書かれているが南京事件に比べるとこちらは知名度がやや下であり、自分も『がい骨レストラン』で知った。事件が関東軍や現代の歴史修正主義者が主張するような自衛行為などではなく、非戦闘員に対する報復であり、民間人虐殺であると結論する。当時の日本軍は「パルチザン協力者」を殺害したと主張したようだが、まあ無実の無関係の人間が巻き添えになった時点で虐殺であろう(東京大空襲が明らかに通行量の多い道路などを計算して行われたように)。2022/10/29
水海 瞬
0
1932年の旧満州で発生した住民虐殺事件である平頂山事件について書かれている。 よく事件を小さく見せるように、一中尉の暴走による偶発的な事件である旨の言説が見られる(それに加えて上司の守備体調が不在というのがセットされることも)が、当時の資料等から、上司も含めて計画的に実施されたと指摘している。2023/01/12