内容説明
過去から何を学ぶかで、現在と未来は大きく変わる。
目次
第1部 近代日本はどんな戦争をおこなったのか(日露戦争とはどういう戦争だったのか;満州事変と「満州国」の実態;日中戦争と南京事件の真実)
第2部 今、問われる歴史認識と戦争責任(真珠湾攻撃とは何であったのか;戦争責任論の現在と今後の課題;「植民地支配と侵略」の計画性と国家の責任)
第3部 歴史修正主義をどのように克服するか(日本は過去とどう向き合ってきたか;政界における歴史修正主義)
著者等紹介
山田朗[ヤマダアキラ]
1956年、大阪府生まれ。明治大学文学部教授、歴史教育者協議会委員長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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樋口佳之
24
12月8日なのだから読まないとねなどと考える事が問題で、少なくとも9月18日にそういう気持ちになるような歴史認識がやはり大切。/東京裁判で死刑判決を受けた方が対中国戦争で持っていた関係。「私は貝になりたい」の誤ったイメージの問題/昭和前期の大破産の種をも生んだ明治。その大きな枠組には納得するものですが、大正期をどう理解するのかは、また別の本を読まなければと感じました。2017/12/12
ひかりパパ
17
今年は明治維新から150年が経つ。明治維新の後、日清、日露戦争を経験した時代を成功の時代=栄光の時代と見なす日本会議の歴史観を著者は厳しく批判する。日本近代史を一貫した膨張主義の連続性という観点から見ることを説く。ロシア脅威論に基づく「利益線」の朝鮮半島への膨張路線、さらにその路線を日英同盟によって強化しようとしたことに失敗の大本がある。「成功の時代」にこそ失敗の種が蒔かれてた。明治維新や明治時代の「栄光」を強調する言説は、明治時代への回帰を志向するような改憲論の高揚に利用されかねないので要注意。2018/01/22
みなみ
14
図書館本。トピックごとに短い章立てで読みやすい。冒頭では、司馬遼太郎の坂の上の雲に描かれた日露戦争のイメージが広く一般に広がっていることを前提とした上で、現実の日露戦争を勝利に導いたものと失敗したものがなんなのかを明らかにしている。フィクションとはいえ司馬遼太郎の影響の大きさを改めて感じ入る。後半では日本の近現代史の捉え方と歴史修正主義を結びつけて論じており、たいへん参考になる内容だった。3冊のシリーズになっているので続きも読みたい。2021/04/03
honyomitai46
5
「韓国併合があったから、韓国の経済が活性化した」「植民地支配というけど、アジアはそれで栄えた」って、聞いていたことへの違和感。学校では習わない歴史認識と戦争責任。安倍さんを含む現政権側の歴史認識が怖い。何故そうも上から目線なのか、そこから見える世界はどう映ってるのか。歴史を歪めて、未来を想像する。「戦争いや」を被害面から受け止めるのではなく、加害の歴史から学ぶことも忘れてはいけないと、思った。2018/04/25
めっかち
2
R3/1/5 左派の主張を知るために読む。最後に初出一覧を見てびっくり。『前衛』とか『経済』とか共産党系ばかり。嗚呼よく見れば出版社が、新日本出版社じゃないか。これからは、ちゃんと書誌を確認してから手に取ろう。2021/01/06