内容説明
戦没画学生の「命の輝きと死の無念」を語った証言の数々。
目次
伊澤洋(享年26)だって、これは洋の命でしょう
市瀬文夫(享年29)お母さん、ちゃんと守るから
岩田良二(享年30)早く治りたい一心だったと思うんです
太田章(享年23)絵を一枚でも多く防空壕の中へ入れようと
小柏太郎(享年26)兄さん、絵を描いていてよかったね
尾田龍馬(享年25)「運命」を聴くたんびに涙が出ました
河口正喜(享年32)親父に似てるって言われるのが、一番うれしいんです
川崎雅(享年33)赤紙一枚で死んでしまう
桑田一彦(享年23)絶句してしもうた、それがずっと凍りついてた
桑原喜八郎(享年24)帰ってきてからまた描くから〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ayumi Katayama
21
「無言館」のことを知ったのはNHKの番組だった。戦死した画学生達の絵画を集めて展示している美術館である。若くして亡くなった彼らを思うとき無念でならない。だが一方で、彼らは絵を描いている時は幸せであったはずだ。彼らには絵を描くという幸せがあったはずだ。それを大切にしたい。「無言館」の館長が語ったその言葉が忘れられない。本書は、画学生達の遺族に話を聞き記録したものである。インタビューの話し言葉をほぼそのまま文字としておこしてある。だから、遺族の方々の、戦死した画学生に寄せる思いが随所に迸る。2021/01/30
kappa
0
無言館に作品が収蔵されている戦没画学生の遺族が、彼らとの思い出を語っている。残された作品の美術的な良し悪しは自分にはわからないが、これらの才能が先の大戦で簡単に失われたことを考えると胸が痛む。2014/11/30