内容説明
「白き瓶 小説 長塚節」論を軸に新たな藤沢文学の魅力を味わう注目の作家・作品論。
目次
1 ひとり行く林間の小道は―作家の軌跡と「白き瓶 小説 長塚節」(闇に海鵜を描くのは;生活の論理と文学の論理 ほか)
2 国の本は民にあり―上杉鷹山と新井白石と(狐狸が棲む城内;幕閣をも揺るがした郡上一揆 ほか)
3 ふるさとは遠くに、近くに―「又蔵の火」から「臍曲がり新左」へ(郷里はつらい土地でもある;兄にかわって言うことがある ほか)
4 転機は春の日差しに似て―市井の武家・青江又八郎、俗世の詩人・一茶(浪人にも生活者の眼;ただ酒にはしゃいだ朝は ほか)
5 愛あり、友ありて人生―「海鳴り」「蝉しぐれ」、三屋清左衛門(いつか心が真っ直ぐに;老いる不安、哀しみが ほか)
著者等紹介
新船海三郎[シンフネカイサブロウ]
1947年生まれ。日本民主主義文学会会員・日本文芸家協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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モトラッド@積読本消化中
33
残念ながら、途中で放棄。藤沢周平氏の事を語った本だと思って読み始めたのですが、さにあらず。藤沢氏について語ると思いきや、いつの間にか、藤沢氏の歴史小説の主人公について、掘り下げている。それも中途半端なまま章が変わり、別の人物についての記述をしていると思ったら、当時頻発した農民一揆の詳細が書かれたり…。論点が定まらぬこと甚だしい。何を読まされているんだろう、と苦痛になったため、約三分の一で、読むのを止めることにしました。我ながら、初めての経験です。2022/06/07
博多のマコちん
4
藤沢作品の全体ではなく、いくつかの作品に絞ってテーマを掘り下げて藤沢周平さんの思い・考え・伝えたいこと共感と共に述べています。作品の登場人物に藤沢さん自身の思いを語らせているところなどを多く引用し、藤沢さんの思想傾向をうまく引き出しているなぁと思いましたが、藤沢さんの代表作を一通り読んでないとなかなか著者の論考には付いていけないとも感じました。藤沢さんの作品の読書案内というより、周平さんのファンが集まる読書会での題材になるような話が多く、それはそれで面白く読めました。 2022/04/29
きりこ
0
藤沢周平の人物像や作品の変遷など詳しく書かれていていました。取上げられた作品では「海鳴り」についての文章が印象に残りました。 生涯の真の同伴者に巡り会う話ですが、「それまでの人生を振り返った時、大事な何かをし残しているとあせるかも知れない。 一番大事な何かが、栄達でも財産でも名誉でもないとしたら、それはまだ見ぬいちばん大事な人と出会うことであろう。人が人のなかでしか生きていけないとしたら、人とのめぐりあいほど、その人がその人らしくなれることもまたないからである。」小説同様藤沢周平も素敵だと思います。 2011/11/01
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