内容説明
二十世紀、もっとも影響力を持った思想家の一人、知の巨人カール・マルクス。ドイツ生まれの経済学者、哲学者、ジャーナリスト、革命家であり、資本主義経済を分析し、エンゲルスとともに新しい歴史観、共産主義思想を生み出す。『共産党宣言』では世界の労働者に団結を訴え、『資本論』では資本主義経済の基本的内容を明らかにした。マルクスはその人生を通じて、人間や社会をどのようにとらえ、何を訴え、何を成し遂げたかったのだろうか。今までのマルクス像を横に置き、彼の人生の軌跡と主要著書を丹念に追ってゆく先に、現在の経済と社会のありように向き合う「思想」が見えてくる。
目次
第1章 誕生
第2章 就職
第3章 流浪
第4章 共産党
第5章 渡英
第6章 困窮
第7章 晩年
著者等紹介
林信吾[ハヤシシンゴ]
1958年、東京都生まれ。作家。1983年より10年間英国に在住し、現地発行日本語新聞の編集・発行に従事。帰国後はフリーで執筆活動に専念している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ソノダケン
2
著者の母は社会科教師でマルクスに心酔しており、息子は小学6年生で『共産党宣言』を読破したとか。ちょっとばかり政治的に偏る家庭だった様だ。おかげでマルクスの思想が著者の血肉となっており、彼の人間的缺点や理論的限界を指摘しつつも、尊敬の念は隠しようがなく、全体的にユーモアと温かみがあるのがいい。 http://nearfuture8.blog45.fc2.com/blog-entry-2042.html2015/01/24
無謀庵
1
ごくカジュアルで正直なマルクス伝記という感じで、礼賛臭もなく非常に面白かった。マルクスのひどい生き方とかエンゲルスの趣味のような下世話な暴露的な話から、共産党宣言から資本論を書くまでの社会の流れ、いまイギリスでマルクスがどのように再評価されているかまで、あくまで面白く描いてある。2013/10/05