内容説明
新政府軍が江戸城をめざして進撃しつつあった慶応四年(一八六八)四月二日、長い太平洋の航海を終えて一隻の軍艦が横浜沖に着いた。フランスで竣工したこの軍艦は、一年前に幕府がアメリカから買い付けた最優秀艦「ストーンウォール」であった。ところが、幕府瓦解後の戊辰戦争のさなかにあって、旧幕府艦隊の旗艦「開陽丸」より強力と見られるこの軍艦に目をつけた新政府は旧幕府との間に水面下で熾烈な争奪戦をくりひろげる…。軍艦「甲鉄」の有為転変の一生を通して、維新史に新しい光を当てた雄渾の大作。
目次
プロローグ 軍船の時代
第1章 「海軍伝習」事始め
第2章 小野友五郎の登場
第3章 「富士山丸」はまだか
第4章 「甲鉄」買いつけの旅
第5章 戊辰戦争への道
第6章 「ストーンウォール」争奪戦
第7章 宮古湾海戦
第8章 箱館湾海戦
終章 「東艦」の行方
著者等紹介
中村彰彦[ナカムラアキヒコ]
1949年、栃木県生まれ。東北大学文学部卒業後、文藝春秋に勤務。87年に『明治新撰組』で第10回エンタテインメント小説大賞を受賞。91年より執筆活動に専念し、93年、『五左衛門坂の敵討』で第1回中山義秀文学賞、94年、『二つの山河』で第111回直木賞、2005年に『落花は枝に還らずとも』で第24回新田次郎文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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