内容説明
一関藩の藩医・笠原兼時を中心に、東北小藩の医学事情、父と子の絆、そして『解体新書』に衝撃を受け、新しい時代の医業を拓くため腑分けに取り組む若き医家たちの姿を活写する渾身の書き下ろし長篇力作。
著者等紹介
小野寺苓[オノデラレイ]
東京都麹町に生まれる。第一次「北の文学」入選二回。第二十九回岩手芸術祭随筆部門芸術祭賞受賞。日本現代詩人会会員(筆名・北川れい)。岩手県詩人クラブ会員。詩誌「炎」同人。井上靖研究会会員。鈴木彦次郎門下会会員。日本詩歌文学館運営協会理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤枝梅安
1
江戸中期、一関藩の藩医・笠原兼時は男児に恵まれなかったが、一人娘に婿を取らせ、笠原の名を継がせた。娘は男子を設け、笠原家3代が揃った。初孫の誕生を喜びつつも、兼時は藩内の医師を纏めていく重責を負い、いくつかの流派が混在する藩の医療事情に不安を抱いていた。江戸に出て阿蘭陀の医学を学ぼうとする若者が増え、養子・親邦もまた藩の江戸屋敷詰めを命ぜられ江戸に向かう。しかし、親邦は病に倒れ、長男・親民を残して生涯を終える。兼時の孫・親民は成長し医学の道を志す。そんな親民が密かに大切に隠すように所蔵していた書物があった2009/11/05