内容説明
尊王攘夷の嵐が吹き荒ぶなか、アメリカより帰国した小野友五郎は小栗忠順の下で日本海軍の創設、蒸気軍艦の国産化に取り組み、横須賀製鉄所建設に心血を注ぐが…。日本の近代化の礎を築いた男の波瀾の軌跡を描く雄渾の書き下ろし歴史長篇。
著者等紹介
鳴海風[ナルミフウ]
本名原嶋茂。昭和28年、新潟県生まれ。平成2年、「五厘の魂」等で第20回池内祥三文学奨励賞受賞。平成4年、「円周率を計算した男」で第16回歴史文学賞受賞。日本文芸家協会会員。新鷹会会員。現在、(株)デンソー勤務
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感想・レビュー
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ソババッケ
1
小野友五郎は学者としてよりも、官僚としての才能がすごかったんでしょうね。一貫して幕府の海防、海軍強化に尽力することになります。惜しいかな、維新を迎え、その業績は明治政府に引き継がれていくことになるわけです。作者は幕末の、幕府側の動きを実に詳細に描いていましたね、じっくり調べたのでしょう。小栗忠順のもと、「大海軍建設計画」がまとめられ、これが実現しておれば、明治維新もまた別の展開になったであろうと考えさせられました。幕府のとった施策や構想などは、もっともっと見直されてしかるべきと思います。★4.02012/06/30