内容説明
中国の春秋時代、呉の刀匠・貢治が鍛えた妖剣・蒼龍。呉越抗争の渦中でたどる蒼龍の数奇な遍歴を描く表題作はじめ、「逢月の璧」「悲笛伝」等七篇を収録。
著者等紹介
岡本好古[オカモトヨシフル]
昭和6年(1931)11月3日京都生まれ。ペンクラブ、文芸家協会会員。昭和46年「空母プロメテウス」で、第17回小説現代新人賞受賞
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感想・レビュー
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星落秋風五丈原
26
中国の春秋時代、呉の刀匠・貢治が鍛えた妖剣・蒼龍。呉越抗争の渦中でたどる蒼龍の数奇な遍歴を描く表題作はじめ、「逢月の璧」唐の都長安の笛の名手、明生は決して鳴らない不思議な笛を手に入れる。公主はかつて一度だけ犯した過ちを明生に語り、愛する人との娘芳花を彼に託して世を去る。「悲笛伝」かつて憎からぬ思いを抱いた伊尹と妹喜(ばっき)は王の寵姫と敵方の宰相として再会する。2003/04/15
のれん
6
古代中華の流れる歴史を舞台に怪異を含んだ神話短編集。 実在の中華神話、民話を元ネタにしており、つくづく大国特有のスケールの大きさを感じる。宝剣や宝玉といった王が欲しがる宝の変遷から、美姫や笛吹きのような魅入られた人間達の心変わり。 下敷きがある作品はしばしばある程度の知識を求められるが、これはそういった押しつけを感じない。作者の文体を含めて読みやすいロマン小説である。2018/11/17
としえ
3
七話の短編集。表題の他、璧(玉)や琴、笛など物にまつわる奇譚が多かったように思う。中国のものはあまり読んだことがないので、言葉に慣れるのにちょっと時間がかかってしまった。普段目にしないような漢字もでてくるし・・。『怪奇譚』とあるように不思議な話を集めた物で、物悲しいような、うすら寒いような余韻を残す話ばかりだったが、全体に会話が少なく淡々と話が進んでいくので登場人物に入り込めず、結果、話の印象も薄くなってしまい残念。2013/10/11
川
1
岡本好古さんの文章は、私にはとても読みやすく感じる。短編7種入ってるがどれも面白かった。呉越時代はじめ春秋戦国話なの嬉しい。2009/11/26