内容説明
明治26年、ウラジオストックからベルリンまで冬のシベリア大陸を単独横断した男がいた。玉井喜作という無名の冒険家がシベリアの大地の向うに見たものは何であったのか。この冒険者の足跡を追う―。
目次
第1部 未開のシベリア二万キロを行く(ウラジオ投獄事件;少年時代;才気と侠気;男子の本懐;挫折の淵から;ウスリーの春;母なる河;イルクーツクでの再会;厳冬の隊商;あこがれのベルリン)
第2部 ベルリンの“私設公使”(シベリアみやげ;ドイツの日本人;“猿”は強かった;Ost=Asien(東亜)
一丈五尺の手紙
ベルリン交遊録
つかのまの団欒
明石元二郎との出会い
痛恨の秋
燃えつきた風雲児)
感想・レビュー
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moonanddai
8
「明治26年極寒のシベリアを単独横断した男」と帯にあるのですが、その単独横断の部分は、「シベリア隊商紀行(原題は「西比利亜征槎紀行」原文はドイツ語)」をお読みください、みたいな感じで、ちょっと騙されたみたいな感じもしますが、その(単独行)前後も大変な人生を送った方だということがわかります。破天荒な明治人そのもののという前半生と、ベルリンの在留邦人の世話を徹底的にした後半生だったようです。日露戦争のさなかには、「あの」明石大佐と後方かく乱にも携わったとかとか…。もっと知られてほしい日本人です。2019/07/29